病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉

阿部公彦 著

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病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2021年11月12日

ISBN978-4-7917-7428-9

読めば「言葉」が好きになる。
言葉の生理がわかる。渾身の31篇!
謎だらけの入試政策、「論理国語」の迷走、英語ぺらぺら信仰、英語スピード信仰……言葉はどうなるのか。鷗外、漱石、太宰、西脇……喧嘩や胃弱、事務処理、「がっかり」、突然の豹変やケアから読み取る文学者たちの息づかい。

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[目次]

はじめに

第1部 言葉を甘く見てはいけない
言葉は技能なのか
小説と「礼儀作法」
しようと思ったことができない病
発語の境界線
「論理的な文章」って何だろう?
入試政策と「言葉の貧しさ」

第2部 英語入試大混乱の後先
英語ができない楽しみ
英語はしゃべれなくていい?——英語教育の〝常識〟を考え直す
「英語教育」という幻想
「ぺらぺら信仰」の未来
「すばらしい英語学習」の落とし穴

第3部 「病」と「死」を生かす言葉
森鷗外と事務能力——『渋江抽斎』の物と言葉
漱石の食事法——胃病の倫理を生きるということ
「如是我聞」の妙な二人称をめぐって——太宰治の「心づくし」
西脇順三郎の英文学度——抒情詩と「がっかりの構造」をめぐって

第4部 言葉を伝えるために汗をかく
ワーズワスを教えたい
由良先生とコールリッジ顔のこと
記憶の捏造をめぐって
突然の人
少しばかり遅れた出会い——私のマーク・トウェイン体験
小説はものになれるか?——ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を読む

第5部 書くことへの「こだわり」は病なのか、救いなのか
百合子さんのお腹の具合
境目に居つづけること——批評と連詩と大岡信
蓮實重彥を十分に欲するということ——『「ボヴァリー夫人」論』の話者らしさをめぐって
作家と胃弱——佐藤正午のある視点
大丈夫だ、オレ——佐伯一麦の呼吸
小川洋子の不安
元純文学作家の職業意識——島本理生の「こだわり」

第6部 どうしてもうまく語れない作家たち
大江健三郎と英詩——日本語の未開領域をめぐって
ボブ・ディランの拒絶力
ナマ・イシグロの「ナマさ」は?——英語原文をちら見する
カズオ・イシグロの長電話——『わたしを離さないで』と〝ケア〟の語り

あとがき

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[著者]阿部公彦(あべ・まさひこ)

1966年神奈川県生まれ。英文学者。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ケンブリッジ大学大学院で博士号取得。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は近現代の英米小説や英米詩だが、英・米の境界や小説・詩の境界にこだわることなく、日本の詩や小説も含みながら、個別のテーマを設定して研究している。「荒れ野に行く」で第15回早稲田文学新人賞受賞、『文学を〈凝視する〉』(岩波書店)で第35回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞。主な著書に『英文学教授が教えたがる名作の英語』(文藝春秋)、『理想のリスニング』(東京大学出版会)、『名作をいじる』(立東舎)、『史上最悪の英語政策』(ひつじ書房)、『幼さという戦略』(朝日新聞出版)、『英語文章読本』(研究社)など、訳書にマラマッド『魔法の樽 他十二篇』、オコナー『フランク・オコナー短篇集』(いずれも岩波文庫)などがある。