定価1,650円(本体1,500円)
発売日2021年9月27日
ISBN978-4-7917-1420-9
ポスト・ヒューマン時代の進化論を考える
いまなぜ進化論が問題となるのか。進化論をめぐる議論の歴史を確認しつつ、ひとびとの生物学的な生と、社会的な生をいかに統合して考えるかを問う。それと同時に、ポスト・ヒューマン/人新世時代において、ひとつの種としての人間のあり方を思考する。
[目次]
特集*進化論の現在――ポスト・ヒューマン時代の人類の地球の未来
【進化論とは何か】
進化生物学の現在 / 長谷川眞理子
体系学の舞台は変転し続ける――系統推定の理論化をめぐって / 三中信宏
【理論の応用と発展】
考古学と進化論――物質性とニッチ構築 / 中尾央
「表情研究」の現在と課題――行動生態学的視点に基づく考察 / 中嶋智史
自然における意識の位置づけを問い直す――比較心理学とベルクソン / 米田翼
【歴史からとらえる】
二一世紀のハーバート・スペンサー――スペンサー思想史研究の主要論点 / 藤田祐
進化論の被造物――歴史の中のポスト・ヒューマン / 伊東剛史
社会的動物/家畜的人間――ミツバチの利他性をめぐって / 橋本一径
【日常にとなりあう進化論】
〈自然な科学〉としての進化論 / 吉川浩満
「肥満の流行」とメタファーとしての「進化」――食べることを救い出すために / 碇陽子
人はなぜ虫をきらうのか――害虫を進化させる国家というシステム / 足達太郎
【種としての人類を考える】
進化論と日本人種論 / 徳田匡
デヴィッド・グレーバーの人類学と進化論 / 片岡大右
バイオソーシャル・ビカミングス抄――ティム・インゴルドは進化をどう捉え、どう越えたか / 奥野克巳
【地球から惑星へ】
パンデミックの時代なのだろうか?――COVID-19 におけるグローバルなものと惑星的なもの / D・チャクラバルティ/篠原雅武訳
【生物学的生をめぐる政治】
性・優生学・人類の未来――W・D・ハミルトンの進化思想を読む / 加藤秀一
クリスパー(CRISPR)哲学とラマルクの危険な思想 / 美馬達哉
【臨床の生態学的転回】
神経生態社会性にむけて――逆境のなかのメンタルヘルス / N・ローズ+R・バーク+N・マニング/ 櫛原克哉訳
【特別寄稿●追悼*木村敏】
生命(ゾーエー)の大海の中へ――木村敏先生を送る / 野家啓一
静かな直接性――木村敏先生を偲んで / 野間俊一
あらためて、垂直方向について / 西村ユミ
「罪ほろぼし」としての精神病理学 / 松本卓也
【連載●科学者の散歩道●第八〇回】
「日本精神」と戦時下の科学――荒木俊馬のリベンジ / 佐藤文隆
【連載●「戦後知」の超克●第一四回】
柄谷行人における「日本」の問いかた 中・3――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
【連載●ポスト・ヒューマニティーズへの百年●第二〇回】
片側化と非弁証法的否定――ブラシエ(4) / 浅沼光樹
【連載●タイミングの社会学●第一一回】
レジリエンス 下・1――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇
【研究手帖】
生きるための言葉と思想 / 石原真衣