現代思想2021年10月臨時増刊号 総特集=小松左京

-生誕九〇年/没後一〇年-

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現代思想2021年10月臨時増刊号 総特集=小松左京

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2021年9月8日

ISBN978-4-7917-1419-3

生誕90年+没後10年…小松左京の思想と想像力に迫る
日本のSF/エンターテインメント界に巨大な足跡を残した作家・小松左京。『日本沈没』『復活の日』『日本アパッチ族』『果しなき流れの果に』……その強靭な知性と想像力がつむぎだす作品世界はいまなお鮮烈なアクチュアリティをもち続けている。コロナ禍を経て二度目の大阪万博をも控えるなか、戦後日本という時空間の問題や、科学技術と社会の関係など、さまざまな角度から小松左京の壮大な“思想”を検討したい。

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[目次]

【巨人の幼年期】
「四つ目」の小松さん / 乙部順子                         

【討議I】
〈廃墟〉の思想家――小松左京と戦後日本 / 長山靖生+成田龍一

【作品】
結ばれる様式 / 生環境構築史(テクスト:中谷礼仁+松田法子/グラフィック:小阪淳)

【思想の深宇宙】
あの頃の未来に、「われわれ」は立っている / 小泉義之
事故・内向・形相――小松左京の構想 / 福嶋亮大
存在することの居心地悪さ――『果しなき流れの果に』の歴史認識 / 加藤夢三

【歴史の測量者】
終わる日本と終わらない日本――聖戦・革命・核戦争 / 山本昭宏
理想の挫折、「廃墟」の台頭――赤本マンガ『大地底海』の作者はいかにしてSF作家となったか / 森下達
戦後文学としての『日本アパッチ族』/ 村上克尚
アパッチ族はメガイベントの夢をみない――「破局の精神史」のための断章 / 酒井隆史
『首都消失』と天皇制――小松左京SFが描く日本の「地平」 / 藤崎剛人                          

【列島の時空論】
放送人、小松左京――一九六〇年代のメディア論的想像力 / 飯田豊
小松左京の鳥の眼――「SFルポ」と真鍋博の視覚 / 佐藤守弘
近未来は〈すこし・ふあん〉――楽観と憂患のジュヴナイルSF / 大久保ゆう
海をもう一度――小松左京『大震災'95』から / 平山洋介

【討議Ⅱ】
未来学、ふたたび――実践から問う小松左京のアクチュアリティ / 齋藤帆奈+樋口恭介+宮本道人

【文学の実験場】
そこに異世界があった――ジェンダーSF作家としての小松左京 / 小谷真理
能楽師が読む小松左京の芸道小説 / 安田登
次は宇宙へでも行くさ――1977-1984〈SF映画の夢〉を小松左京と見た時代 / 切通理作
小松左京作品と中国SF / 立原透耶                    

【惑星の政治学】
普遍生物学――小松さんへのレポート / 金子邦彦
地球科学者が読みとく『日本沈没』――「大地変動の時代」の日本列島をイメージするために / 鎌田浩毅
地球的災害の知の物語――『日本沈没』における科学と社会 / 伊藤憲二
エコクリティシズムで読む小松左京の気候変動小説 / 芳賀浩一
『復活の日』とSFの終わりの始まり――科学史から見た小松左京 / 塚原東吾                          

【資料】
小松左京ブックガイド――最初にして最大のSFプロトタイパー / 宮本道人