定価3,960円(本体3,600円)
発売日2022年1月4日
ISBN978-4-7917-7408-1
頭から爪先まで(アカピテアドカルケム)体を一巡り。豊かなる中世世界への旅
先の尖った靴、焼けただれた肌から芳香がにおいたつ聖人、ブレムミュアエ、視覚の科学、虫歯治療、鼻の整形、ペニスのなる木――。
生まれてから死ぬまでの日々の生活を彩った道具や、人々の信仰や思念を映し出す美術品。これらは中世を生きた人々の世界観と息遣いを今に伝える。キリスト教世界だけでなく、イスラーム世界をも網羅する最新の研究から、中世人の生と死と日常を活写する。図版多数。
サンデー・タイムズ「ヒストリーブック・オブ・ザ・イヤー」受賞作
解説=小池寿子
[目次]
序論――中世の身体
始まりは? 一〇〇〇年前のあなた 忍び笑いと嫌悪 さまざまな歴史と治療師 民族と民間伝承 言葉では言い表せない
頭部
脳 狂気と脱毛症 首を刎ねる 聖なる頭部(カブト)
五感
視覚を見る 過去のにおいを嗅ぐ 耳を澄ませて 口、舌、歯
皮膚
身体の表面下にあるもの 表面・皮膚に潜む資質 ぶつかり合う皮膚の色 皮膚に書かれたもの 第二の皮膚
骨
骨の山積場 死体を覆う墓石 骨をもてあそぶ
心臓(ハート)
心臓(ハート)を癒やす 心臓で感じる 愛を見つめながら 神を愛するが故に
血液
悪しき血液 善き血 生きている血 血を止め、縫い合わせる
手
触れるための道具 手近な道具 署名をし、手を握る
腹部
祝祭の宴と断食 内臓 肛門に関する芸の数々
性器
女性の神秘 第二の性 セクシュアリティとペニスのなる木 小便を読みとる
足
猛禽類のような鉤爪とむき出しの足裏 徒歩で、馬で、海路で 反対側の足
未来の身体
謝辞
参考文献
解説 魅惑のラビランス―中世の身体 小池寿子
図版出典一覧
索引
[著者]ジャック・ハートネル (Jack Hartnell)
中世から近世初期のヨーロッパや中東地域において視覚的イメージで表現される文化を中心に研究。コロンビア大学、コートールド美術研究所、マックス・プランク科学史研究所、ヴィクトリア&アルバート博物館でのさまざまな役職を経て、現在、イースト・アングリア大学にて美術史を講じている。
[訳者]飯原裕美(いいはら・ひろみ)
津田塾大学卒業。訳書に『脱毛の歴史』(東京堂出版)、『マンガ! 大英博物館マンガ展図録』『世界の神話大図鑑』(以上、共訳、三省堂)など。翻訳協力に『ウェブに夢見るバカ』、『ディープ・シンキング』(以上、青土社)、『コロンブスの図書館』(柏書房)、『フェミニズム大図鑑』(三省堂)など。