定価2,420円(本体2,200円)
発売日2021年8月25日
ISBN978-4-7917-7405-0
私は仏教の国タイで僧修行をした。
僧の一日は、早朝から各戸を巡り歩き、お布施の食物を得る托鉢に始まる。そして227条の厳しい戒律に明け暮れる日々。気鋭の文化人類学者が、タイ・バンコクの僧院で、得度から還俗までの僧修行を実践――。得度の儀礼、僧の義務、僧の日常生活、仏教徒との交流、同僚僧との交友…。知られざる小乗仏教の実態をみずみずしい感性と文章で紡ぎあげる、感動のドキュメント。
宇野重規教授 推薦――――
「学問の駆け出しだった頃、この本を読んだ。僧院の体験を自分もしたいと思った。若き人類学者によるみずみずしい異文化体験の書は、日本では失われた成人のための通過儀礼の本でもあった。いったん社会との関係を断ち、自分を突き放してみることで、社会と自分を理解する新たな目を獲得する。この本の魅力は今でも変わらない。」
[目次]
1 はじめに
2 ピンタバート――托鉢
3 僧院の日常
4 僧になるまで
5 僧院を探す
6 ウパサンパダ――得度
7 僧の義務
8「一時僧」制度
9 二人の僧
10 僧院の構造
11 ニーモン
12 タン・プン
13 二つの存在
14 パーティモッカ――戒律
15 対 立
16 ピィー――悪霊
17 アサイラム――保護領域
18 アニチャ――無常
19 僧の世界
20 スック――還俗
用語集
あとがき
[著者]青木保(あおき・たもつ)
1938年生まれ。文化人類学者、元文化庁長官、前新国立美術館館長。著書に『異文化理解』(岩波新書)、『儀礼の象徴性』(サントリー学芸賞)、『日本文化論の変容』(吉野作造賞)、『エドワード・ホッパー』(青土社)。