スウェーデンボルグのことばと思想

-永生への扉を開く-

高橋和夫 著

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スウェーデンボルグのことばと思想

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2021年8月27日

ISBN978-4-7917-7411-1

天才科学者にして稀代の神秘家の核心にせまる
科学者としても特異な功績を残し、神秘家としても聖書解釈や死後の世界への言及などで今なお後世に影響を与えている巨人・スウェーデンボルグ。2005年、著作や手稿類が「ユネスコ世界記憶遺産」にも登録された彼のことばから、そのまなざしの先にある世界や思想の核心を描きだす。入門書にして決定版。

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[目次]

まえがき

第一部 スウェーデンボルグのことば

第一章 不滅の霊魂と持続する意識
1 霊魂または霊とは何かが一般にはほとんど知られていない
2 「霊魂」または「霊」とは、肉体の内部で生きている人間そのものであり、死後、霊魂は「霊」と呼ばれる
3 死は人間の生命の継続であり、万人にとって肉体の死は蘇生である
4 肉体の死後数日間に何が起こるのか―スウェーデンボルグの「臨死体験」から
第一章 解説

第二章 肉体の死と霊の蘇生・覚醒の全過程
1 霊界・天界・地獄、「霊たちの世界」とは何か
2 霊界は固定した場所ではなく、心の「状態」である
3 肉体の死から始まる霊界への移行のプロセス―時間軸に沿って
第二章 解説

第三章 天界への道程
1 世を捨て肉の欲を断つ生活は天界へ入る生活ではない
2 天界に入る生活とは霊的な動機から正直で正しく行動することであ
3 天界へ入る生活の容易さ
4 仁愛の生活から遊離した敬虔な生活は天界に通じない
5 天界と、愛の諸相―慈悲・仁愛(隣人愛)から世俗愛・自己愛まで
6 スウェーデンボルグがみずからに課した生活訓
第三章 解説

第四章 天界逍遥
1 天界の全体像、そこの時間と空間、生命の状態の変化
2 天使の衣服
3 天界の住居や街の光景
4 天使の言葉
5 天界の多様な職業
6 役立ちの王国としての天界
7 天界の統治機構とそのリーダー
8 天界での富貴と清貧
9 天界の子どもと、その成長
10 天使の性と結婚
11 天界の愛と美
12 天界の宗教―宗教・教派を超えた万人の救い
第四章 解説

第五章 地獄歴訪
1 天界と地獄の対立と霊的平衡
2 地獄の風景
3 地獄の猛火と酷寒
4 地獄の人間の顔だち
5 天界による地獄の統御
6 悪と罰の一体性
7 地獄をつくる自己愛と世俗愛
第五章 解説

第六章 叡智の断片
1 森羅万象は自然それ自身からでなく愛と知恵から発生する
2 生命の源泉とその受容体
3 人間はなぜ自分自身から生きているように思えるのか
4 愛は神の本質である
5 神の全能、全知、遍在
6 愛は人間の生命である
7 意志と理解力は人間の生命を構成する二つの能力である
8 宇宙の創造目的と神の摂理
9 何ぴとも地獄に行くように定められていない
10 神の摂理の働きについて
11 強制された宗教は人を救わない
12 悪の根深さについて
13 地位の高低や富の多寡そのものは幸福と無関係である
14 摂理と戦争
15 なぜ未来を明らかに知ることはできないのか
16 小宇宙としての人間
17 照応とは何か
第六章 解説

第二部 スウェーデンボルグの生涯と思想

第一章 生誕と修業時代

第二章 『原理論』に見られる原子論と宇宙論
1 原子論
2 太陽系生成論

第三章 「霊魂」を求めて―スウェーデンボルグの解剖学・生理学・心理学
1 霊魂とは何か
2 『霊魂の王国』
3 『理性的心理学』

第四章 転身期――宗教的危機と『夢日記』
1 『夢日記』
2 神学者への転身
3 後半生のおもな事績と著作
4 カントによる千里眼批判

付録1 用語解説(五十音順)
付録2 スウェーデンボルグ略年譜
付録3 スウェーデンボルグへの評言集

あとがき

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[著者]高橋和夫(たかはし・かずお)
1946年佐渡に生れる。1980年学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得満期退学。1979年より主として東京都内の大学で教え、現在文化学園大学名誉教授。主な著書・訳書・編書に『カントの生涯と学説』(E・カッシーラー著、共訳、みすず書房、1986年)、『転身期のスウェーデンボリ』(A・アクトン著、未來社、1987年)、『E・スウェーデンボルグ――持続するヴィジョン』(R・ラーセン編、日本語版監修、春秋社、1992年)、『スウェーデンボルグの思想』(講談社現代新書、1995年)、『スウェーデンボルグの宗教世界』(人文書院、1997年)、『スウェーデンボルグの霊界日記』(角川文庫ソフィア、1998年)、『スウェーデンボルグ 天界と地獄』(PHP研究所、2008年)、『新井奥遂』(共著、東京大学出版会、2010年)、『私の宗教』(ヘレン・ケラー著、共訳、未来社、2013年)、『霊性と東西文明』(共著、勉誠出版、2016年)、『スウェーデンボルグ、聖書を読む』(論創社、2019年)他多数。