定価2,420円(本体2,200円)
発売日2021年9月21日
ISBN978-4-7917-7392-3
京マチ子から渡哲也、山田孝之、そして綾瀬はるかまで――。
俳優たちが体現し、破壊し、そして生み出された「女らしさ/男らしさ」とはなにか?
ジェンダー・セクシュアリティのあり方、「女らしさ/男らしさ」の価値観が一変した戦後日本。移りかわる理想像を俳優たちはいかように体現し、人びとはそこから何を見出したのか。古典から近年の話題作まで、映像内の身体表現を俊英がつぶさに読み解き、浮き彫りにする。
[目次]
Opening アクター・ジェンダー・イメージズ
Sequence A 抵抗する身体――闘う女たち
第1章 戦後民主主義と脚――京マチ子の生の重力
第2章 戦後日本を抱擁する――国民女優としての高峰秀子
第3章 黄金時代の映画のアイドル――〈日常性〉を演じた若尾文子
第4章 女性の実存を生きる――満島ひかりの身体の演技
Sequence B 敗北する身体――傷つく男たち
第5章 敗戦からの遁走――フランキー堺の〈喜劇性〉
第6章 ダークヒーローの孤独と虚無――渡哲也の漆黒の輝き
第7章 敗北と苦痛の美学――恐るべき子供としての萩原健一
第8章 善悪の彼岸を演じる――山田孝之のまなざし
Sequence C 転覆する身体――イメージをかきかえる
第9章 『転校生』における身体の喪失と共感――大林宣彦のセルフリメイク
第10章 女たちの連帯と共闘――韓国映画『ハウスメイド』とチョン・ドヨン
第11章 神と化す男たち、戦闘する女たち――インド映画『バーフバリ』の筋肉
第12章 包摂する〈ハリウッド〉――スーパーヒーロー映画の身体性
第13章 境界を攪乱する――オルタナティヴとしての綾瀬はるか
End roll ジェンダー・イメージの想像力
あとがき
[著者]北村匡平(きたむら・きょうへい)
1982年山口県生まれ。映画研究者/批評家。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、同大学博士課程単位取得満期退学。現在、東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター・リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は映像文化論、メディア論、表象文化論。単著に『スター女優の文化社会学——戦後日本が欲望した聖女と魔女』(作品社、2017年)、『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩書房、2019年)、『24フレームの映画学——映像表現を解体する』(晃洋書房、2021年)、共編著に『リメイク映画の創造力』(水声社、2017年)、『川島雄三は二度生まれる』(水声社、2018年)、翻訳書にポール・アンドラ『黒澤明の羅生門——フィルムに籠めた告白と鎮魂』(新潮社、2019年)などがある。