定価1,650円(本体1,500円)
発売日2021年6月29日
ISBN978-4-7917-1416-2
江戸の算学から折り紙、詰将棋まで……日本の数学文化を一望する!
近世に花開いた日本独自の数学――それは専門家のみならず様々なひとびとが日常の営みに用い、趣味として楽しんだひとつの「文化」であった。本特集では関孝和らすぐれた和算家たちの業績はもちろん、その前提をなした中国の数学や、算額奉納の慣習、また折り紙や詰将棋といった遊戯のなかの数学まで、多様な観点から日本の数学文化を検討したい。
【目次】
特集*和算の世界――『塵劫記』から折り紙、詰将棋まで…日本の数学文化
【討議】
江戸の数学から見えてくるもの / 上野健爾+小川束
【近世日本の数学者たち】
日本数学史研究の可能性 / 小川束
『大成算経』の謎 /森本光生
江戸時代の文化を彩った和算家 / 小林龍彦
幕末から明治における和算家・洋学者たちの活動――能算者たちの文明開化 / 鈴木真治
【江戸に花咲く数学文化】
江戸時代に数学が盛んになった四つの理由 / 田中優子
算額について――江戸時代後期の庶民文化の高さ / 深川英俊
算術者のつくり方 / 山本貴光
【暦をめぐる冒険】
江戸期の天文学・暦学――和算的側面を重点に / 中村士
渋川春海における暦法と神道 / 林淳
【教わり、学び、営む「算」】
日本の珠算史・数学教育史のなかの『塵劫記』 / 上垣渉
珠算・算盤の日本における歴史 / 太田敏幸
【遊戯のマテマティカ】
和算のパズルから学ぶ思考力教育 / 東田大志
詰将棋と数学が出会うとき / 齋藤夏雄
折り紙の幾何 / 三谷純
【西の数学、東の数学】
前近代中国の数理科学 / 渡辺純成
ライプニッツは二進法にいかなる有用性を見たのか?――二進法の起源と価値をめぐって / 池田真治
【科学と日本的なるものの問題】
医学論の日本主義的展開――戦時期日本の生理学、臨床医学、漢方医学 / 愼蒼健
【資料】
和算問題集 / 米光丁
【連載●「戦後知」の超克●第一一回】
柄谷行人における「日本」の問いかた 上――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
【連載●ポスト・ヒューマニティーズへの百年●第一七回】
ニヒリズムの再考と日常的像の破壊――ブラシエ(1) / 浅沼光樹
【研究手帖】
家畜の生に賭けられたもの / 河原梓水