定価2,420円(本体2,200円)
発売日2021年6月29日
ISBN978-4-7917-0402-6
安野光雅の絵とことば、追悼特集
安野光雅の作品はいつもそこにあった。馴染み深く、親しみやすく、しかし諧謔と論理に彩られた、絵とことばの世界――。画家であり、文章をよくした。数多くの装幀、装画を手がけた。たくさんの本がいまも息づいている。安野光雅の世界をいまふたたび旅してみよう。絵のある人生に向かって、あるいはその向こうに。
【目次】
総特集*安野光雅――1926-2020
■口絵
安野光雅をめくる / 選=廣石修
■詩
annoさん / 谷川俊太郎
■「絵のある人生」に向かって
安野さん。個人的なこと / 澤地久枝
いたずら好きの妖精 / 関容子
安野さん、人と人とのつながりを思う / 末盛千枝子
安野光雅さんのヨーロッパ / 小澤俊夫
存在の不確かさが空に浮かんで――空想の繪本 / 司修
■対談
安野光雅と旅の道連れ――イングランド、イタリア、アイルランド、津和野 / 松岡和子 森まゆみ
■旅と人
安野さんのアンテナ / 阿川佐和子
『津和野』 / 安野モヨコ
忘れられない雑談といたずら書き――温泉とセットのスケッチ旅行 / 山本朋史
盧舎那仏の微笑 / 中村愿
どこか懐かしい淡彩の風景 / 中村明
■画家の肖像
独学の画家・安野光雅さん / 大矢鞆音
津和野の人――森鷗外とともに / 山崎一穎
安野光雅という絵描き / 林綾野
「街道をゆく」から語る安野光雅――津和野生まれの装画家 / 桑島秀樹
安野光雅『繪本 平家物語』画論 / 出口久徳
■空想工房の発明
安野光雅さんの判官贔屓 / 奥本大三郎
偉大なる「ボケ」 / 轡田隆史
安野光雅と河合隼雄の交叉点 / 河合俊雄
すばらしき数楽者 / 亀井哲治郎
安野光雅さんが岸田衿子さんの本を装丁をしたころのこと / 高橋順子
手品師の帽子のなかに安野さんはいる、かもしれない / 石井睦美
■図版構成
『ユリイカ』表紙コレクション――1978−1979
■ストーン・ブレイン博士のアルス
Anno Mirabilis / 高山宏
遊びのある科学性 / 池内了
絵本の天文学者 / 寺村摩耶子
『数学大明神』――比類なき肥沃な対談 / 梅田亨
虚実を遊ぶ――『空想工房』再読 / 林哲夫
■教室の点景
少年のような安野先生 / 森ミドリ
二等兵先生の落語 / 松田哲夫
安野光雅本を探して / 松原 茂
安野先生とこまつ座の宣伝美術 / 井上麻矢
授業「装幀の心と技」 / 川口美貴
真心で描く美しい創造世界――創意と工夫の装丁・装画芸術 / 小林真理
■絵・歌・本
故郷とは子ども時代のこと――歌のなかの安野光雅 / 坪井秀人
歌のめぐりの絵と記憶 / 東直子
安野光雅と佐藤忠良、そして教科書作り / 藤本朝巳
〈文学の絵本〉の軌跡を追って / 木股知史
安野光雅の本づくり / 大貫伸樹
■絵本作家は今日も
いつもジーンズで / 田中和雄
『旅の絵本』を旅したときのこと / 中島京子
大志の歌の祭りに寄せて / 大崎清夏
ふしぎなしてん / 辻川幸一郎
会えなかった画家 / 諏訪敦
■ふしぎなえほん
「絵描き」安野光雅が、絵本作家になるとき / 石井光恵
安野光雅の文字のない絵本 / 山本美希
日常感覚を異化する絵本――安野光雅とヨシタケシンスケ / 目黒強
安野光雅と再話の実験――アイソーポス、グリム兄弟、アンデルセンの物語より / 横道誠
■安野光雅事始め
安野光雅書誌年表 / 廣石修