定価1,980円(本体1,800円)
発売日2021年2月27日
ISBN978-4-7917-0398-2
『A子さんの恋人』完結記念!
近藤聡乃はニューヨークと東京の時差のようにどちらが過去とも未来ともつかないいまここにある現在にそっと送り返す。エッセイマンガ『ニューヨークで考え中』はそれゆえに卓越した同時代の記録を届ける。そしてまた、新たな代表作『A子さんの恋人』が描いた他者という感情の平行、そのマンガとしての静かな持続は数多い2020年の傑作のひとつに数えられるだろう。デビュー20年を経て、近藤聡乃はいま“どこ”で考えているのか。
【目次】
特集*近藤聡乃ーー『電車かもしれない』『KiyaKiya』から『A子さんの恋人』『ニューヨークで考え中』まで…不思議な線の少女
❖描き下ろし
「ニューヨークで考え中」ユリイカ出張篇 / 近藤聡乃
❖対談〈1〉
地味というには不思議な話 / 近藤聡乃 川上弘美
❖A子さんに連れられて
A子さんたちの逡巡をみつめる温かなまなざし / 今泉力哉
UえもとIちこの場合 / 植本一子
❖近藤聡乃試論――ひとたび『A子さんの恋人』と
近藤聡乃のからくり箱 / 藤本由香里
苦爪楽髪かつ苦髪楽爪な日常 / 中田健太郎
名前と文字の軽さと体温――『A子さんの恋人』の文字を読む / 森田直子
都市の厚み――『A子さんの恋人』について / 三浦知志
❖マンガ〈1〉――近藤聡乃との遭遇
近藤さんと私(愛の不時着 ver). / 今日マチ子
近藤さんと私 / クリハラタカシ
近藤聡乃さんのこと / 堀 道広
❖スケッチ
近藤聡乃の消息 / 鈴木康広
❖詩
三原色 / 最果タヒ
❖キャンバスと鉛筆
タンチョウヅルの頭を撫でる / 髙城晶平
のろいとまじない。 / 青葉市子
❖カラー口絵
Kondoh Akino Latest Works
❖再録
さようなら/大停電の夜に / 近藤聡乃
❖近藤聡乃を観る
近藤聡乃主要作品解題 / 選・解説=山田晃子
❖アルカイックな横顔
聡乃さんのこと / 山口 晃
伝説のタマグラアニメ『電車かもしれない』 / 水江未来
変わり続ける世界で――マンガと美術と近藤聡乃 / 金澤 韻
❖動く絵と動かない絵
《KiyaKiya》と新しいJapanese Girlの誕生 / 金沢百枝
孤独のかたちを掘り起こすための隙間――近藤聡乃の短篇アニメーションと『A子さんの恋人』 / 土居伸彰
耕されるジェッソ――近藤聡乃の鉛筆画 / 大山エンリコイサム
❖ニューヨークの音を聞く
ぼくもニューヨークで考え中だった / 友部正人
ニューヨークで「あんぐり」中 / 巻上公一
電車のきしむ音、レールを曲がる時の音 / 前野健太
❖マンガ〈2〉――来たるべき線
円に近づく / 山本美希
未踏の線 / 増村十七
❖対談〈2〉
英語と日本語のあいだのモヤモヤ / 近藤聡乃 柴田元幸
❖『ニューヨークで考え中』と考える
それぞれのニューヨーク / 佐久間裕美子
ネイバーフッドの螺旋歳時記(クロニクル)――『ニューヨークで考え中』のノスタルジー / 吉田恭子
フェイス・イーター――近藤聡乃に教えてもらった日本語 / ライアン・ホームバーグ
❖対談〈3〉
青の時代と黄昏 / 近藤聡乃 原 マスミ
❖おかっぱの女の子
あいまいで朦朧とした、でも強烈な記憶 / 知久寿焼
『デジタル・スタジアム』のころ / 八谷和彦
たゆたう少女たち / 星園すみれ子
❖マンガ〈3〉――私の向こう側
つれづれ虫 / 丸山 薫
かっこいいなあ、と言うしかできない / オカヤイヅミ
ピアノが上手な女の子 / 小口十四子
こがね虫のおとむらい / 本 秀康
❖『A子さんの恋人』ふたたび――オルタナティブな系譜と私
私の知ってるA子さんのこと――ガロとりぼんとるきさんと / 三浦沙良
マンガの変態――『ガロ』から『ハルタ』へ / 可児洋介
A太郎のベタ、『ガロ』の影……さよなら。――近藤聡乃『A子さんの恋人』論 / 住本麻子
❖名前を見つける
積み重なっていく日常の先に / 友田とん
アドベントレター / くどうれいん
未踏のまなざし / 野村由芽
❖みたび『A子さんの恋人』――自己愛・作家性・三角関係
愛の時間 / 佐藤雄一
マンガ家としての近藤聡乃と「手」の仕事――『うさぎのヨシオ』と『A子さんの恋人』に見る自己表現としてのマンガ / 竹内美帆
AとVのかたち――『A子さんの恋人』はポリアモリー? / 遠藤麻衣
❖近藤聡乃を読む
近藤聡乃単行本解題 / 横井周子
❖連載
私の平成史 13 / 中村 稔
❖物語を食べる*2
憑依と観想から擬人法へ / 赤坂憲雄
❖詩
球体 他一篇 / ゆずりはすみれ
❖今月の作品
鎌田尚美・勝部信雄・夜水 透・藤谷真実子・池田伊万里・高野真佑子 / 選=和合亮一
❖われ発見せり
遺産と概念的穴掘り / 岡澤康浩