定価1,650円(本体1,500円)
発売日2021年2月27日
ISBN978-4-7917-1411-7
311に、いま・ここから応答する
東日本大震災と福島第一原発事故が突き付けた問題とは何か。この10年の現場の創意工夫を拾い上げながら、その現在地を追う。また、震災が開いた問いをさまざまな社会的イシューとも接続させながら、私たちが暮らす社会のこれからの在り方について、思考を重ねていく。
【目次】
特集*東日本大震災10年
【討議】
宮地尚子+山内明美 環状島の水位を下げる――震災とトラウマケアの10年
【生業と「ふるさと」から考える】
馬奈木厳太郎 責任を問うということ、主権者たること
菅野義樹 飯舘村と栗山町をつなぐ地元学
【海と共存するために】
後藤清広 海の環境を引き継いでいく――牡蠣養殖漁家の一〇年
川島秀一 升に盛られた命を生きて――漁業の災害観から考える
濱田武士 東日本大震災から漁業権を考える――水産特区の教訓
【〈復興〉が開く問い】
廣重剛史「そこに在ること」の意味――防潮堤建設と住民たちの生活世界
廣瀬俊介 風土形成の思想と実践――東日本大震災の経験からランドスケープデザイナーのあり方を問う
清野聡子 技術者たちは何に絡めとられていたのか――巨大防潮堤について考える
宮﨑雅人 被災自治体の税収と経済
【核と原発の現在】
片山知史 被災地の海と漁村と原子力発電
茅野恒秀 〈核〉を失った原子力のゆくえ
酒井隆史 「放射脳」を擁護する
【震災と表現】
加藤登紀子 声をのせて、分断に抗う歌
いがらしみきお 遠ざかる雲
【避難と暮らし】
市村高志 原発事故からの一〇年を避難当事者の視点で振り返る
早尾貴紀 絶望のディアスポラ――危機の時代の人文知
【子どもたちとともに】
佐藤敏郎 「もしも」は「いつも」の中に――震災一〇年に思う
渡部純 失われた宝を名づけること
【ケアをめぐる〈政治〉】
山内明美 東日本大震災からの一〇年目 そして関東大震災から九八年目に
田浪亜央江 IDFの東北ミッションとイスラエルの「世界標準化」
【言葉を聴き取り、書き記す】
小野和子 歩きつづける友よ
永野三智 「ひとり」の語りが変える社会――水俣や福島を考える
【●科学者の散歩道●第七五回】
佐藤文隆 トランプ政治が抉り出した科学の現在 「パッケージ」から「バラ売り」へ
【●「戦後知」の超克●第七回】
成田龍一 鶴見俊輔の「期待」と「回想」 中・1 『戦時期日本の精神史』をめぐって
【連載●ポスト・ヒューマニティーズの百年●第一四回】
浅沼光樹 器官なき身体 ドゥルーズ・続
【連載●タイミングの社会学●第五回】
石岡丈昇 立ち退きの時計 下 スクオッターの強制撤去
【研究手帖】
前田麦穂 地方分権と教員採用