定価1,980円(本体1,800円)
発売日2021年2月13日
ISBN978-4-7917-7355-8
なぜ「三代目」が重要なのか。
なぜ日本社会では世代や世襲、家柄が問題となるのか。家族の系図から、政治家、お笑い芸人、実業家、文化人から、天皇と元号まで。私たちが目の当たりにしている「三代目」という節目から、近代日本の潮目をとらえるユニークな社会学。
序章 「三代目」とは何か
はじめに――三つの墓、名字の謎 なぜ「三代目」なのか みんな誰かの「三代目」 「三代目」は系図のはじまり いま「三代目」を考える意味 「世代」とは何か 本書の見取り図、そして「三代目」としてのわたし
第1章 「三代目」としてのわたし
「売家と唐様で書く三代目」 わたしは、誰の「三代目」か 祖父・鈴木誠一の生涯 祖母・鈴木良江の生涯 祖父・誠一の女性問題、そして、 母方の祖父母をとおして 結婚から見る「三代目」
第2章 「三代目」を理論化する
「三代目」への補助線 「始まりの現象」としての「三代目」 「イエ社会」のはじまりとしての「三代目」 組織としての「家」
補章1 世代論としての「三代目」
「三代目」と「世代論」 世代論のイメージ 「ゆきどけ荘」に見る世代論の有効性/無効性 二〇〇六年の丸山眞男 「若者を語るな!」という「若者」 「メタ世代論」と「論壇」の崩壊 世代論の「果て」
第3章 「三代目」の葛藤
「世代」への自覚 『何でも見てやろう』
第4章 松下、トヨタの三代目
個人か組織か 松下家――個人崇拝と組織闘争のはざまで 豊田章男とトヨタ自動車 「三代目」と企業博物館
補章2 経営者は引退できるのか
「三代目」と経営者 経営者はなぜ引退するのか? 経営者は、いかにして引退するか? 世襲をめぐる背景 「世襲」をさせない引退 経営者は、どのように引退を迎えるのか?
第5章 「三代目」の天皇
「三代目」の天皇 「尾崎行雄不敬事件」とはなにか? 「尾崎行雄不敬事件」に至るまで 「尾崎行雄不敬事件」をめぐる言論 「尾崎行雄不敬事件」の意味 「三代目」の天皇 津田事件の歴史認識 歴史意識と「三代目」
終章 「三代目」と近代日本
「三代目」への問い、ふたたび 「家永続の願い」と「三代目」の社会 いくつもの「始まり」としての「三代目」 「三代目」という「孤児」 ふたたび近代日本の歴史意識の解明に向けて
あとがき
注
参考文献
[著者]鈴木洋仁(すずき・ひろひと)
社会学者。東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手。1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。専門は歴史社会学。2004年京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送入社。報道記者として勤務。2010年ドワンゴに転職ののち、2011年に東京大学大学院修士課程に進み、国際交流基金、東京大学等での勤務を経て、現職。著書に『「平成」論』(青弓社)、『「元号」と戦後日本』(青土社)、『「ことば」の平成論』(光文社新書)など。