数理と哲学

-カヴァイエスとエピステモロジーの系譜-

中村大介 著

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数理と哲学

定価3,960円(本体3,600円)

発売日2021年2月5日

ISBN978-4-7917-7348-0

〈重ね合わせ〉の思考のために
概念と概念の。また理論と理論の。さらには科学と哲学の。それは、あるものを別のものの上に層状に重ねることも含むが、重ねることでそれぞれが入り込み、浸透し合うこともある。重ね合わせとはまずもってこうした重ねる働きを意味するが、またある状態のことでもある。二としての一。差異。畳長性。ある時代と別の時代の重なりが生み出す緊張。近代的自我でありつつも同時にそれとは異なった何かであること。そして、あるものから別のものへと成りつつある様。——哲学者カヴァイエスの数理哲学を軸に展開される、現代思想の粋!

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[目次]

総論 〈重ね合わせ〉の探究に向けて

第I部 ジャン・カヴァイエスの数理哲学——概念・生成・経験
第一章 直観主義と論理主義への視座——『公理的方法と形式主義』(一)
第二章 「修正された形式主義」の認識論——『公理的方法と形式主義』(二)
第三章 カントールと「中心的直観」——『抽象集合論の形成』(一)
第四章 デデキントの鎖と「数学的経験」——『抽象集合論の形成』(二)及び「超限数と連続体」
第五章 学問論と論理学の問題圏へ——『論理学と学知の理論について』(一)
第六章 〈概念の哲学〉の提唱——『論理学と学知の理論について』(二)

第Ⅱ部 数学のエピステモロジーをめぐって——現象学との緊張関係
第七章 一つの哲学的生成——ブランシュヴィックからカヴァイエスへ
第八章 問題としてのイデアと一なる〈宇宙〉——アルベール・ロトマンのハイデガー読解
第九章 数学のエピステモロジーと現象学
第一〇章 「概念の哲学」と二つの数学の現象学——ゲーデルとプラデル

第Ⅲ部 エピステモロジーの諸相とその周辺
第一一章 技術のエピステモロジー——ジルベール・シモンドンの哲学の一側面
第一二章 シモンドンの技術論におけるイマージュと構想力
第一三章 デュピュイの科学哲学とカタストロフ論
第一四章 欲動・抵抗・努力

補論 探偵小説生成論序説——パースの記号学から出発して

文献表
あとがき
人名索引
事項索引

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[著者]中村大介(なかむら・だいすけ)

1976年千葉県生まれ。哲学者。早稲田大学理工学部卒業。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程を経て、パリ西(第十)大学大学院で博士の学位を取得(哲学)。専門は、数理哲学、エピステモロジー(科学認識論)、フランス哲学。現在、豊橋技術科学大学総合教育院准教授。ジャン・カヴァイエスを中心に、数理哲学、フランス哲学の分野を広域に研究している。共著に『エピステモロジー——20世紀のフランス科学思想史』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『カタストロフからの哲学——ジャン=ピエール・デュピュイをめぐって』(以文社、2015年)、共訳書にグランジェ『科学の本質と多様性』(白水社、2017年)、シモンドン『個体化の哲学——形相と情報の概念を手がかりに』(法政大学出版局、2018年)がある。