定価1,760円(本体1,600円)
発売日2020年11月21日
ISBN978-4-7917-7325-1
好奇心よ、もっと強靭であれ、もっと貪欲であれ
「Q(クエスチョン)=問い」の向こうがわへ行こう!
私たちが出逢う科学のQ(クエスチョン)に、幾多の文献を渉猟し、人類学から迫る。ヒトはなぜこのようになったのか、なぜ別様ではあり得なかったのか、今後どのようになり得るのか――。好奇心に駆られるままにヒトを探究し、世界を押し広げていく。あなたをひとりにはしない、現代を生きるための最良の手引き。
[目次]
まえがき
Ⅰ AIをめぐるQ
Q1 AIは人間をどう変えるのか?
Q2 なぜスマホから逃れられないのか?
Q3 人間は物理的な機械なのか?
Q4 だれがアルゴリズムを作るのか?
Q5 技術開発の功罪とは?
Ⅱ 人類・脳・文明をめぐるQ
Q6 人間の本質とは何か?
Q7 「本当の豊かさ」とは何か?
Q8 極限状態で人は何を考えるのか?
Q9 進化はどのように人体を作り上げたのか?
Q10 なぜ人だけが文化を持ったのか?
Q11 遺骨を持ち出した責任をだれが取るのか?
Q12 文明生活は人体をどのように変えたのか?
Q13 これから人類はどこに向かうのか?
Q14 誤りにどう向き合うか?
Q15 なぜ「知ってるつもり」になるのか?
Q16 「人新世」とは何か?
Q17 料理はヒトの脳を大きくしたのか?
Q18 ホモ・サピエンスはどのようにアフリカを出たのか?
Q19 意識は文化の産物なのか?
Q20 遺伝子改変で人間は幸せになれるのか?
Q21 ハンチントン病にどう向き合うか?
Q22 人類進化の大スターとは?
Q23 水生類人猿仮説とは何か?
Q24 なぜ文化は人から人へ移るのか?
Q25 なぜ不必要な贅沢品は売れるのか?
Q26 人類史の不平等の原因とは?
Q27 人間が持つ二つの本能とは?
Q28 デカルトは間違っていたのか?
Q29 なぜ幻肢が生じるのか?
Q30 ヒトの能力の特殊性とは?
Ⅲ 生物学をめぐるQ
Q31 生命の美しさとは何か?
Q32 巨大カマキリとの一騎打ちのゆくえは?
Q33 条件が同じなら同じ進化が起こるのか?
Q34 マンモスを再生できるのか?
Q35 生物は遺伝子の「乗り物」なのか?
Q36 遺伝子とは何か?
Q37 生物の制御の共通の法則とは?
Q38 なぜゲノムには「がらくた」がたくさんあるのか?
Q39 なぜ利他行動の進化を研究したいのか?
Q40 「イーダ」とは何か?
Q41 動物の研究から人間は何を学べるのか?
Q42 呼吸と進化の関係とは?
Q43 ガラパゴス諸島のゾウガメをめぐる物語とは?
Q44 ゴリラの実態とは?
Q45 動物の考えていることはわかるのか?
Q46 なぜネズミは知的なのか?
Q47 全盲の科学者を取り巻くものとは?
Q48 ファーブルとダーウィンの交流とは?
Q49 鳥は何を感知できるのか?
Q50 いつ老化は始まるのか?
Q51 なぜ病気は生まれるのか?
Q52 なぜ日本の海はかけがえがないのか?
Q53 進化を知ることの意味とは?
Q54 なぜ死ぬことは複雑になったのか?
Q55 なぜゴキブリは評判が悪いのか?
Ⅳ 宇宙・物質・時間をめぐるQ
Q56 人間は地球に住めなくなるのか?
Q57 世界を作ったのは神様なのか?
Q58 物理学は完成された学問なのか?
Q59 時間とは何か?
Q60 元素はどこから生じたのか
Q61 フェルマーの最終定理はいかにして証明されたのか?
Q62 なぜ人は真理を探求するのか?
Ⅴ 伝記・歴史・博物学をめぐるQ
Q63 黒人興行師の波乱万丈の生涯とは?
Q64 ロックフェラーの息子に何が起きたのか?
Q65 なぜ書物は破壊されるのか?
Q66 「自分で考える」とは?
Q67 なぜアメリカは戦争をやめないのか?
Q68 天安門事件とは何だったのか?
Q69 信仰と科学の対立は解消できるのか?
Q70 科学は宗教にとって替われるか?
Q71 人間にとって毛皮とは何か?
Q72 古代エジプトの女性は自由だったのか?
Q73 日本では個はどこにあるのか?
Q74 キュリー夫人の真の姿とは?
Q75 ボーヴォワールはフランスを変えたか?
Q76 「英国の変人」の生涯とは?
Q77 科学者の良心とは何か?
Q78 なぜ天才数学者は愛されたのか?
Q79 中世の人々にとっての旅行記とは?
Q80 博物学者は世界を変革したのか?
Q81 二〇世紀とはどのような時代だったのか?
Q82 なぜ人は山に登るのか?
Q83 ダーウィンの偉業とは?
Q84 民族植物学とは何か?
Q85 ポーリングとファインマンの関係とは?
Q86 天才画家は世界をどう見ていたのか?
Q87 偉人とは何か?
Ⅵ 現代社会・哲学をめぐるQ
Q88 女性の地位が向上すると人口が減るのか?
Q89 なぜ日本の科学技術力は落ちているのか?
Q90 アメリカ大統領は精神鑑定を受けるべきか?
Q91 日本にヒラリーはいるか?
Q92 女性と男性はどう違うのか?
Q93 日本にとっての生命倫理とは?
Q94 脳死は人の死なのか?
Q95 法律は生殖医療に追いつけるのか?
Q96 ポストモダン哲学の欺瞞とは?
Q97 アメリカ人は原爆をどう思っているのか?
Q98 なぜ若者の「勉強離れ」が進むのか?
Q99 たばこをめぐる利害対立とは?
Q100 現代の社会で自然とは何か?
文献一覧
あとがき
[著者]長谷川眞理子(はせがわ・まりこ)
1952年東京都生まれ。人類学者。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。専門は自然人類学、行動生態学。イェール大学人類学部客員准教授、早稲田大学教授などを経て、現在、総合研究大学院大学学長。野生チンパンジー、ダマジカ、野生ヒツジ、クジャクなどの研究を行ってきた。最近は、ヒトの進化、科学と社会の関係を研究課題に据えている。主な著書に『モノ申す人類学』、『世界は美しくて不思議に満ちている』(以上、青土社)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社新書)、『動物の生存戦略』(左右社)などがある。