この世にて

日和聡子 著

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この世にて

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2020年9月25日

ISBN978-4-7917-7307-7

現代を代表する女性詩人・日和聡子、初の散文集。
中原中也賞、野間文芸新人賞、萩原朔太郎賞を受賞するなど詩と小説の両方で日本文学に着実な足跡を残して来た詩人、日和聡子。二〇〇一年のデビュー以降、この一八年の間に書き続けて来た書評やエッセイを自らが丹念に選び、編んだ初めての散文集。

この世にて出会った、人、本、もの、こと――
心と力の限界と領域を痛切に思い知りながら考えてきた、言葉にできないこと、言葉にしないこと、言葉にしていきたいこと。

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[目次]

 

まえがき この世にて

 

一、 本

文学のつらなり/ 出会いの道/ 強さを養う「あはれ」の文学/ 私の三の酉/ 小泉八雲つれづれ/ でも橋の上では、ひとり/ 迂遠に立ち向かう喚起の力/ 聞こえてくる声、呼びかける言葉/ へその緒の温度/ わらいのなかに遍在する慈しみ/ 揺らぎ散る魂を鎮める書/ 続いてゆく文学と人情/ 本のある世界で

 

二、 詩と小説

文学の店/ 風の成分/ すでに〝そこ〟にあるもの/ 書くからだ/ 詩と小説のあいだで/ 〈偽記憶〉という虚構の真実/ 書き続けること/ 雨垂れを受ける甕

 

三、 家と物

私の郷土玩具/ 展望台から/ ともに過ごす/ 新しい年も/ 青い光/ 漂流物の旅/ 記憶の宝箱

 

四、 旅と故郷

旅路と故郷への道のり/ 祖父の話/ 銀鏡神楽/ 松明の火/ 土を捏ねる/ 弓ヶ浜、白兎海岸/ ありがとう三江線/ 水際の風景/ 火と氷/ 神秘を見つめる日本紀行

 

五、 日日

空の海原/ 一番星/ 電車のなかで/ 時空を繫ぐ場所/ 地面と高殿/ 雪の中の悟浄/ 泳ぐ人びと/ バスに乗って/ 日常という異界/ 魂が語りかけてくる声/ ともにある年末

 

六、 民俗 

未知の世界への案内書/ 篝火の宵/ 民話を通して綴る心の歳時記/ 日本の民俗を記録する/ 波間の光景/ 見守り続ける厳しい書/ 縄文時代のかおり/ 蘇る草双紙/ 苦難の結晶

 

七、 書評

暗がりを照らす灯/ 窓を開け放つ書/ 土地との交歓により生まれた短編集/ 「命」はどこにあるのか/ 静かな祈りと意志に満ちた作品集/ ゆるやかにつながりて/生きたすべての生命の記録につつまれて/ 生の点滅、導く光

 

あとがき

初出一覧

 

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[著者]日和聡子(ひわ・さとこ)
1974年島根県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。2002年、詩集『びるま』(私家版、のち青土社)で中原中也賞受賞。以後、詩作に加えて、小説を発表するようになる。2012年、小説『螺法四千年記』(幻戯書房)で野間文芸新人賞受賞。2016年、詩集『砂文』(思潮社)で萩原朔太郎賞受賞。他の著書に、詩集『唐子木』(私家版)、『風土記』(紫陽社)、『虚仮の一念』(思潮社)、『現代詩文庫 日和聡子詩集』(思潮社)、小説『火の旅』(新潮社)、『おのごろじま』(幻戯書房)、『御命授天纏佐左目谷行』(講談社)、『校舎の静脈』(新潮社)、『チャイムが鳴った』(新潮社)などがある