ビリー・ホリデイとカフェ・ソサエティの人びと

-「奇妙な果実」の時代をたずねて-

生野象子 著

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ビリー・ホリデイとカフェ・ソサエティの人びと

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2020年10月9日

ISBN978-4-7917-7314-5

時代の熱、淡々とした歌声、変動する社会——。もうひとつのジャズの時代を歩く。
黒人差別の時代、虐殺され木に吊るされた黒人を歌った「奇妙な果実」。あまりに暗い影を落とすこの歌に惹かれた著者は、渡米し、グリニッジ・ヴィレッジを歩き、クラブの跡地を訪れ、当時のことを知るあらゆる人物と会い、多くの話を聞きにゆく――。華々しくも悲劇的なビリー・ホリデイの生涯と、悲しくも熱いジャズの時代を追いかけて、「奇妙な果実」の舞台裏にせまる、魂をゆさぶるノンフィクション。

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[目次]

はじめに トーチ・ソング


第1章 カフェ・ソサエティ誕生――「奇妙な果実」が歌われたクラブ

一九三八年、初秋/カフェ・ソサエティという実験クラブ/ベッシー・スミスの特別列車/シェリダン・スクエア/店に現れた高校教師/ポグロムを逃れて/「奇妙な果実」の誕生/南部の夕涼み/ピアノ演奏/父の最期の姿/カフェ・ソサエティ伝説のスターたち/カニエ・ウエストのブラッド・オン・ザ・リーブス/路面電車の運転手の息子/ブロンクス育ち/デウィット・クリントン高校/有名作家になった教え子たち/金属探知機ゲートの導入/抹殺されなかった詩人/詩人の結婚/フェーン・クリフ墓地の風/ジャズマンの墓地/新人歌手のオーディション

 

第2章 キャバレー・カード ――麻薬とジャズ

自伝刊行後のインタビュー/ひどい間違い/「奇妙な果実」を最初に歌った歌手/ルイス・アランという名前/ミュージシャン二世たち/ビリーのお友達/オールダソン女子刑務所/スピリッツという罠/キャッツのお気に入り/高くつく代償/患者か犯罪者か/ジミー・ウォーカーのキャバレー法/フィオレロのキャバレー・カード/テレビがやってきた/ウィンチェルとサリヴァン/ビリーのテレビ出演/ビリーのパンチ力/マルコムXのテレビ出演/憎悪を生む憎悪/紙の一票か鉛の玉か

 

第3章 スウィミングプール・コミュニスト ――赤狩りの時代

映画『ニューオリンズ』/ハリウッド・テン/スウィミングプール・コミュニスト/強制退去の風景/下院非米活動委員会(HUAC)/西を目指せ、若者よ、そして戻れ/HUAC聴聞会/一九五四年の海外公演/一九五四年の赤い空/一九五四年のパルプ雑誌/一九五四年の高級雑誌/エンドロールの名前探し/千の顔を持つコメディアン/カフェ・ソサエティの閉店/クッカリー閉店/跡取り息子の誕生/ローゼンバーグ事件/オールド・スパーキー/愛は死をこえて/わたしの住む家/金曜日の日没/面会室のチョコレート/死刑囚房の野球実況放送/ヴェノナ文書/気の弱い者が先/死刑執行日のパーティ/エイベルの幸運

 

第4章 ベイカーズ・ダズン ――虹の部族とベイヤード・ラスティン

ベイカーズ・ダズン/黒いビーナス/ミランダ城とタバコ畑/ストーク・クラブ事件/ワシントンでの演説/ベイヤード・ラスティンという男/祖母ジュリアの家/一組のブックエンド/パサディナでの逮捕/二〇年王国の終焉/虹の部族のその後/リトル・レッド・スクール・ハウスとバーミツヴァー/二階の本棚/ローゼンバーグ児童基金/最後のピアノ演奏/メリーゴーランドを降りる時/星に願いを/世界で一番長い墓碑/チャップリンの星/ジャズの星々/ルイの星々/ビリーの星/グッドバイ、ポークパイ・ハット/ラウンド・ミッドナイト/閉店の貼り紙/臨終の祈り/母との再会/ニューヨーク・タイムズの死亡記事


おわりに ハッピー・ブルース


あとがき ダムダム弾とBlack Lives Matterのことども
参考資料

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[著者] 生野象子(いくの・しょうこ)
東京生まれ。ニューヨーク市立大学卒。現在は日本在住。著書に『ニューヨークA to
Z』(講談社文庫)、訳書に『トレーニング・ユア・キャット』(レイ・バーウィック著、
新潮社)がある。