ユリイカ2020年10月臨時増刊号 総特集=別役実の世界

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ユリイカ2020年10月臨時増刊号 総特集=別役実の世界

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2020年9月11日

ISBN978-4-7917-0391-3

別役実の魅力に迫る、追悼特集
戦後日本における不条理演劇の確立者として知られる別役実。しかしその活動は必ずしも演劇の枠内にとどまらず、その味わいは決して「不条理」の一言に尽くされるものでもなかった――。膨大な戯曲群はもちろん、虚実皮膜のエッセイから、驚きに満ちた批評、深いさみしさと優しさを湛えた童話・詩まで、その豊かな作品宇宙を一望し、唯一無二の佇まいを記憶する。

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【目次】

■オモイデの素顔
父の本とわたし / べつやくれい

■並走の追憶
別役実とアトリエ / 藤原新平
新しい舞台形式の創始者――追悼・別役実 / 鈴木忠志
宇宙の彼方へ旅立たれた別役さん / 小室等

■対談
不条理の可笑しみ、生活者の佇まい / 佐藤信+柄本明

■〈不条理〉の輪郭
別役実の戦後認識――『象』から始まる物語群 / 七字英輔
祈りの演劇――別役実とベケット / 岡室美奈子
The absurd of Exhaustion / 佐々木敦
アリスの叛乱、氾濫するアリス――別役戯曲の女性像 / 小澤英実
異質な共同体が現れるとき――解釈不能な有意味性 / 三木那由他
個人と社会の関係を問う別役実 / 今村麻子

■面影をたどって
ポーカーフェイスの人 / 橋爪功
憧れの人 / 林次樹
背骨パキパキのベツヤクサン / 内田洋一

■座談会
ある劇作家のまなざし――別役実が捉えたもの / 岩松了+岡室美奈子+ケラリーノ・サンドロヴィッチ

■越境と協働
矛盾を軽やかに超越した作家への賛歌 / 吉田喜重
「不条理が潜む条理」のつきあい / 池辺晋一郎

■未発表原稿
もの言わぬものがたり / 別役実

■風のポエティーク
淋しいおさかな 淋しいネコ / 谷山浩子
優しさとさびしさと――別役実の詩と詩学 / 中西恭子

■マンガ
探偵X氏 幻想植物密輸事件 / 小原愼司

■時代から読む
原爆・被爆を描く別役実、あるいは戦後表象空間のなかの別役実――『象』『マクシミリアン博士の微笑』をめぐって / 成田龍一
方法としてのケロイドと「おにぎり」――別役実と原爆の問題 / 山本昭宏
電信柱と砂漠――別役実と安部公房 / 坂堅太
政治とアリスとユートピア――初期別役実テクストと〈幻想文学〉の共時性について / 茂木謙之介
別役実と寺山修司の「街」と「飛行」をめぐる二作品 / 梅山いつき

■電信柱のマルチヴァース
そよそよ族とはなにか――劫初の言語の生まれるところ / 井辻朱美
虚実のあわいで遊ぶ――別役実のつくしものを読む / 山本貴光
雲丹の味と安楽椅子探偵――別役実の犯罪論・再考 / 春日武彦
じゃなくて、私がゴドーです……あるいは、Oui. Etrange, donc je le suis.――別役実と志村けんの存在論的笑い / 大岩雄典
ギャグマンガ的ナンセンスの再構築――『天才バカボンのパパなのだ』(一九七八年)における祝福と鎮魂 / 森下達
別役実を、テレビで見た / 濱田研吾

■資料
別役実略年譜・全戯曲 一九三七→二〇二〇 / 野中広樹
別役実著作一覧 / 野中広樹