定価1,980円(本体1,800円)
発売日2020年8月27日
ISBN978-4-7917-0390-6
わたしたちとその愛
“わたしたち”にとって「オタク」であるとはどういうことか、それはなにを語らしめ、どのような自己を導いてみせるのか、そこにはなにか謎のようなものはあるのか。愛着と嗜好をめぐって織りなされるオタクという(/としての)主体のテーゼ。
【目次】
特集*女オタクの現在――推しとわたし
❖インタビュー
ハッピー・ゴー・ラッキー――今日もオタクは生きている / つづ井 聞き手・構成=青柳美帆子
❖詩
きみ推し / 最果タヒ
❖推しとわたし
推しと俺 / 悠木碧
推しと萌えとオタクと女 / 王谷晶
推し依存症 / 綾奈ゆにこ
推しと二次創作をめぐる断想 / 隠岐さや香
❖推しの倫理
君に会いたい――コロナ禍下の女オタクである私と君と / 金巻ともこ
孤独にあること、痛くあること――「推す」という生き様 / 筒井晴香
「推し」を語るとは何か――あるいはマキさんの輝く日常 / 橋迫瑞穂
〈消費者フェミニズム〉批判序説 / 水上文
❖女/オタクの履歴
呼ばれた名前で / 岡田育
怖いと思うのはもうやめた / 川口晴美
魂のお宅訪問 / 松澤千晶
あなたもまた消費される身体になる / 木上芙実子
腐女子はバッド・フェミニスト(?) / 柳ヶ瀬舞
❖オタクという性と主体
〈私〉の性的主体性――腐女子と夢女子 / 吉澤夏子
オタクに男女はあるのか――ジェンダーの桎梏を超えて / 佐倉智美
女オタク*――「オタク」をクィア的実存から読み解く / 古怒田望人/いりや
オメガバースを読む――乱反射する欲望と現実 / 高島鈴
❖マンガ
SPECIAL DAY / 真田つづる
❖鼎談
〈女オタク〉とは誰のことか――私的領域と公共性 / 田中東子 ひらりさ 中村香住
❖女オタクは行動する
二〇二〇年の「801ちゃん」 / こじま(801ちゃん)
審神者なるものは過去へ飛ぶ それは歴史の繰り返し / 汀こるもの
彼女たちの「願わくは同好に頒(わか)たん」 / 橋本麻里
「オタク」の私と「オタクではない」小説 / 柳川麻衣
感想を書く職業 / 哉村哉子
❖書き手としての女‐オタク
のがれること・つくること・つながること / 田中東子
批評――オタクと推しを繋ぐ言葉。 / 西森路代
オタク女子たちが「自重」してきたもの――ネットマナー、半生、夢小説 / 青柳美帆子
私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない――『スター・ウォーズ』とファンガール / 北村紗衣
❖不可視化されないために
女オタクが衣装を着て創り出したアンサー / ちゃんもも◎
或る女おたく「おれ」 / 西田藍
女性を眼差すオタク女性の葛藤と希望 / 卜沢彩子
女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。 / 近藤銀河
❖「女ヲタ」の現在
「女が女を推す」ことを介してつながる女ヲタコミュニティ / 中村香住
アイドルを研究する女ヲタのまなざし――えりぴよの視線の先へ / 上岡磨奈
「イケメン」な女性アイドル――工藤遥試論 / 青田麻未
❖世界の外側に向かって
白球を追いかける人、を追いかける人 / 高山羽根子
パブリック・イメージ・アンリミテッド / ニイマリコ
バンギャルの見られ方――自意識過剰な闇のゆくえ / 藤谷千明
ヲタ活盛りのテクノロジー / 久保友香
❖ジャンル基礎研究
女子大生にみるアニメ・ゲーム系オタクとアイドル系オタクの象徴闘争 / 片岡栄美
同人誌という曖昧な輪郭――女性向け二次創作の現在地 / 石川優
曖昧な「乙女」たち――乙女ゲームにおける両義性 / 小出治都子
❖わたしたちの物語
短歌とBLの間で / 松野志保
『星矢』オタク、オリンピアに立つ / 藤村シシン
花道が続いていなくても / 麦島汐美
アイドルを看取るという時代へ / 山野萌絵
❖女オタクのアルケオロジー
私と彼女たちの物語 / 小澤京子
嶽本野ばらとアウグスティヌス――乙女と内に秘められた過剰の美学 / 横田祐美子
アートの魅力を女子目線で再発見!――一六―一七世紀イタリアにおける女性の美術鑑賞 / 古川 萌
❖連載
私の平成史 8 / 中村稔
❖モノ・ローグ mono.logue*11
心の穴 / 菊地信義
❖作品
蜜蜂の羽音――岡井隆のための誄歌 / 石井辰彦
❖今月の作品
千種創一・為平澪・河上蒼・鳥居橋萬福・義若ユウスケ・かるべまさひろ / 選=和合亮一
❖われ発見せり
封筒、その長方形にのって / 汐入憂希
表紙イラストレーション cover illustration = カシワイ