定価1,760円(本体1,600円)
発売日2020年8月27日
ISBN978-4-7917-1403-2
私たちをとりまく「統計」の思想とは何か
ビッグデータやAI技術の進展を背景に、2010年代以降とりわけ存在感を増しつつある統計学/データサイエンス。しかしその背後には一体どのような「思想」が横たわっているのか。本特集では統計的なるものの歴史と現状をコロナ以後の地点から改めて一望し、それらが私たちの生存といかにかかわるのか、哲学的視座も交え多角的に検討したい。
【目次】
特集*統計学/データサイエンス
【討議】
社会と科学のなかの統計学 / 小島寛之+三中信宏
【統計学をとらえる】
二〇二〇年代の統計リテラシーを考える / 神林博史
「統計不信問題」から日本の統計史を考える / 佐藤正広
統計学思想試論――自覚的ユーザーのために / 松王政浩
【ベイズの時代】
今承認される「世界性の統計学」――ベイズ統計学の黙示 / 松原望
【〈データ〉が息づく場所】
データの多様な相貌――エコシステムの中のデータサイエンス / 福島真人
数をめぐるダイナミクス――犯罪解決の数値化とその背景 / 鈴木舞
データサイエンスとして観たアクチュアリー学史――生命表作成の歴史を巡って / 鈴木真治
「エビデンス」の奇妙な増殖――〈証拠〉の歴史から見たEBMと社会 / 松村一志
「エビデンスに基づく教育」の可能性と限界 / 寺沢拓敬
【身体と「測ること」】
ウィズコロナ時代の統計学 / 竹村彰通
感染者数とは何か――COVID-19の実行と患者たちの生成 / 浜田明範
疫病と酸っぱい葡萄――感染経路追跡にまつわる権力手段について / 羅芝賢
生き生きとしたデータ――戦後地域医療と健康 / 北中淳子
【横断と越境の歴史】
統計学と数学との関係 / 赤平昌文
心理学と統計――歴史的な検討を通じて未来を展望する / サトウタツヤ
マクスウェルの統計的知識と自由意志 / 稲葉肇
Rが自由ソフトウェアであること / 喜多千草
【数値が見せる社会】
コトバの知と数量の知――一〇〇年のウロボロス / 佐藤俊樹
家族社会学における量的研究と質的研究――質的調査の標準化に向けて / 永田夏来
差別の「エビデンス」は示しうるか / 永吉希久子
【データサイエンスの哲学】
データを用いて語るときに、私たちがしていること――分析プラグマティズムの観点から / 朱喜哲
人工知能と言語化不可能なもの / 百木漠
【新連載●「戦後知」の超克●第一回】
悪疫年 二〇二〇――序 / 成田龍一
【連載●科学者の散歩道●第七一回】
機械に奪われる――機械内でのメカニクスの拡大と残余としての心 / 佐藤文隆
【連載●ポストヒューマニティーズへの百年●第八回】
terra incognita / 浅沼光樹
【研究手帖】
利他行動を測る / 河村悠太