定価1,650円(本体1,500円)
発売日2020年7月28日
ISBN978-4-7917-1400-1
パンデミックを生活の場から思考する
新型コロナウイルスとCOVID-19、そしてその対策は、私たちの日常にいかなる変容をもたらしているのか。本特集では現場での実態を記述しながら、パンデミックを生きるための思考を紡いでいく。
【目次】
特集*コロナと暮らし――対策の現場から
【労働現場から捉える】
緊急事態宣言下での大都市清掃とパンデミック後のあり方 / 藤井誠一郎
商い/賑わい/エッセンシャルワーカー――日本小売業にとってのコロナ・ショック / 満薗勇
ポストコロナの食と農を思考すること――資本主義的食料システムに対峙する / 松平尚也
【システムを攪乱する】
日本の資本主義と「アフター・コロナ」――生存権と賃労働規律から読み解く / 今野晴貴
コロナ禍の子ども食堂――食卓をめぐるソシアビリテの変容 / 成元哲
「コロナ危機」とコンピュータ機械化資本主義的生産様式の前史の終わりについて / ティル・クナウト
【家族と「密」】
「密」への要求に抗して / 中森弘樹
『不登校新聞』のコロナ関係記事に見る「休校による不利益」の不可視性 / 貴戸理恵
【ジェンダーと〈移動〉】
二つの論理、二重の越境――COVID-19 流行下におけるトランスジェンダーと医療 / 山田秀頌
移動から考える「ホーム」――画一的な「ステイ・ホーム」言説を乗り越えるために / 小ヶ谷千穂
占領と感染症――沖縄現代史における二つの病い / 若林千代
【討議】
トリアージが引く分割線――コロナ時代の医療と介護 / 川口有美子+美馬達哉
【コロナと〈生政治〉】
イタリアにおける医療崩壊と精神保健――コロナ危機が明らかにしたもの / 松嶋健
ペストとコロナのあいだ――生政治学的省察 / 宇野邦一
【往復書簡】
忘却することの痕跡――コロナ時代を記述する人類学 / 猪瀬浩平+久保明教
【ウイルスと〈触れること〉】
世界の表面の人間の痕跡 / J・バトラー/清水知子(訳・解題)
除菌と除霊とキャッシュレス――貨幣と霊の経済人類学 / 深田淳太郎
【感染症と建築】
感染症とともに変わる住まいのかたち――気候を統治する / 西川純司
都市に再接続するための気晴らしの居場所 / 能作文徳
【コロナ時代のエコロジーを問い直す】
〈帝国〉からの二〇年 / M・ハート+A・ネグリ/塩田潤(訳・解題)
普遍的呼吸権 / A・ムベンベ/箱田徹(訳・解題)
【連載●科学者の散歩道●第七〇回】
多様な価値観と科学の真理――“決められない”科学と反知性主義 / 佐藤文隆
【連載●ポスト・ヒューマニティーズへの百年●第七回】
シェリング風の観念論――パース / 浅沼光樹
【研究手帖】
ポケットティッシュから見たジェンダーと金融史 / 小島庸平