中年格差

橘木俊詔 著

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中年格差

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2020年7月22日

ISBN978-4-7917-7295-7

教育、職業、健康、年金、福祉、結婚……。その格差はどこからきたのか。
一九九三年から二〇〇五年まで景気の後退によりおこった就職氷河期。その影響を全面にうけた世代がいま大きな格差に直面している。一度レールから落ちてしまった人に厳しい日本社会の特徴が、就職時期に「機会の平等」を享受できなかった中年世代の上に重くのしかかっているという事実。しかしそれは決して特定の世代の問題ではないのだ。格差問題にとりくみつづけている著者が明晰な分析で、中年世代の問題から日本社会のゆくすえを見通す。

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[目次]

はしがき

第1章 世代別格差の現状
はじめに/幼年期/若年期/中年期/高年期

第2章 正規と非正規のあいだ―中年期に特有の問題として
就職氷河期とは何だったのか/正規労働者と非正規労働者の違い/生活水準と家族の有無/人生をやり直せるか/三五歳までに転職を/抜本的改革案――子ども保険/日本では一度失敗すると立ち上がれない/正規労働者も苦しんでいる

第3章 未婚と既婚と離婚
結婚できる人とできない人/中年期の離婚/中年期の再婚/単身者の増加と中年

第4章 中年期における心の問題
ライフサイクル/中年期の心理問題/中年期自殺の多さ/勤労・経済問題/家族を持ったときの問題/幼少期の子育てから生じる心の問題/少年・青年期の子育てにおける心理問題/看護・介護に生じる心の問題/男女の差

第5章 未来の高齢者としての中年
高齢者は何の所得で生活しているか/日本が皆保険の国というのは虚構/医療・介護も皆保険ではない/失業保険制度も同じ問題を抱えている

第6章 中年はどう生きればよいか
中年の危機/格差の問題/結婚格差/若年格差/教育格差/中退率の効果/次の世代の中年――新しい格差の誕生

終章 中年格差のない社会を目指して

参考文献  

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[著者]橘木俊詔(たちばなき・としあき)

1943年兵庫県生まれ。京都大学名誉教授。京都女子大学客員教授。小樽商科大学商学部卒業。大阪大学大学院修士課程修了。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。フランス、アメリカ、イギリス、ドイツでの研究職・教育職、京都大学教授、同志社大学教授などを歴任。元日本経済学会会長。専門は労働経済学。著書に『女女格差』、『日本人と経済』(いずれも東洋経済新報社)、『日本の教育格差』(岩波新書)、『「幸せ」の経済学』(岩波書店)、『愛と経済のバトルロイヤル』(佐伯順子氏との共著)、『老老格差』(いずれも青土社)など多数。