定価3,080円(本体2,800円)
発売日2020年4月23日
ISBN978-4-7917-7275-9
すべての人に居場所がある社会の条件とは
「絶対的に歓待すること、彼ら全員に居場所を与え、その場所の不可侵性を宣言することこそが社会が成立するための条件である」――社会の歓待を受けて居場所をもつ者こそが「人」たりうるのだとすれば、私たちが生きる今日の社会は、誰を「人」と認め、それによってどのように自らの境界を定めているのか。ロック、ルソーらの近代思想から、ゴッフマン、アーレント、デュルケーム、パターソンに至る理論を縦横無尽に引用しつつ、私たちの社会に必要な政治学と倫理的価値を記述する。韓国で注目を集める気鋭の人類学者/社会学者・金賢京による初の著作、待望の翻訳。
[目次]
日本語版序文
プロローグ 影をなくした男
第一章 人の概念
第二章 成員権と承認闘争
第三章 人の演技/遂行
第四章 侮辱の意味
第五章 友情の条件
第六章 絶対的歓待
第七章 神聖なるもの
付録 場所に対する二つのメモ
訳者あとがき
[著者]金賢京(キム・ヒョンギョン)
1969年ソウル生まれ。ソウル大学人類学科卒業後、同大学院在学中に渡仏。社会科学高等研究院(EHESS) で日本植民地期の朝鮮人インテリゲンチャに関する研究で博士号取得。現在延世大学講師。著書に『人、場所、歓待』(文学と知性社)、『空間主権への招待』(共著、ハンウル)、訳書にブルデュー『言語と象徴権力』(ナナム出版)、ジャン=ピエール・ボー『盗まれた手の事件』(イウム)、ポール・ヴェーヌ『歴史をどう書くか』(共訳、セムルギョル)がある。
[訳者]影本剛(かげもと・つよし)
1986年西宮生まれ。延世大学国文科博士課程在学中、ソウル科学技術大学非常勤講師。朝鮮文学専攻。日本語での訳書に李珍景『不穏なるものたちの存在論』(インパクト出版会)、韓国語での共著に『韓国近代文学の辺境と接続地帯』(ボゴ社)、『林和文学研究6』(ソミョン出版)などがあり、共訳書に金時鐘『猪飼野詩集ほか』(図書出版b)、同『失くした季節』(創批)、栗原幸夫『プロレタリア文学とその時代』(ソミョン出版)がある。