定価6,820円(本体6,200円)
発売日2020年4月25日
ISBN978-4-7917-7265-0
建築家とはいかなる存在か。
2015年、「アンビルトの女王」として知られるザハ・ハディドが設計した新国立競技場の原案が白紙撤回され、激震が走った。本来、市民一人ひとりの生活に意匠を凝らすべき建築家たちが、なぜ「アンビルト」を描くのか。資本と消費の論理が先行し、物語や理念が失われた時代に、私たちは建築の未来を語ることができるのか。混迷を極めた新国立競技場問題の背景を、すみずみまで検証する。「建てられざる建築」とその終わりをめぐる、圧倒的論考。
[目次]
1 アンビルト
2 インターナショナル・スタイル
3 アヴァンギャルド
4 ラディカリズム
5 レム・コールハース
6 シュプレマティズム
7 ジャンク・スペース
8 冷たい戦争
9 一九六八年五月革命
10 解体と消費
11 グローバリゼーションと新自由主義
12 歴史の終わり
13 一九七三年
14 アメリカ合衆国
15 自己責任社会
16 格差社会
17 国家の退場
18 インターネットと共産主義の崩壊
19 ポスト・モダニズム
20 革命的アンビルト
21 芸術の終焉
22 「商品」としての芸術
23 ユートピア
24 ユートピアの終焉
25 実現されたユートピア
26 ディストピア
27 アンビルトの女王
28 「香港ザ・ピーク・コンペ」
29 「歴史主義」への回帰
30 一国二制度
31 二重のコード化
32 博多湾モデル
33 東京一極集中
34 東京オリンピック・パラリンピック2020
35 偶有性操縦法(コンティンジェンシー マニュアル)
36 「ただの建築」
37 A案とB案
終章 ポトラッチ
あとがき
註
[著者] 飯島洋一(いいじま・よういち)
1959年、東京都生まれ。1983年、早稲田大学理工学部建築学科卒業、1985年、同大学大学院修士課程修了。現在、建築評論家/多摩美術大学教授。著書に『現代建築・アウシュヴィッツ以後』『現代建築・テロ以前/以後』『建築と破壊』『グラウンド・ゼロと現代建築』『破局論』『「らしい」建築批判』『建築と歴史』(以上、青土社)などがある。2003年、サントリー学芸賞を受賞。