定価2,970円(本体2,700円)
発売日2020年4月14日
ISBN978-4-7917-0384-5
“追悼読み”に捧ぐ手向けの花
坪内祐三はよく飲み、よく歩き、よく観て、なによりよく読んだ。雑誌を読み、小説を読み、評論を読み、ノンフィクションを読んだ。そして書いた。ひたすらに書いた。そこには徹底した自意識が敷かれていた。坪内祐三とはテキストと不即不離に結びついた行動の日々である。追悼文を読み、追悼の営為を問いつづけた坪内祐三の追悼特集。
【目次】
総特集*坪内祐三――1958-2020
*グラビア
文壇アウトローズ・ファンキーナイト
*Last Waltz
東京の人・坪内祐三 / 小沢信男
引用 / 山田稔
坪内祐三君を悼む / 康芳夫
レクイエム / 福田和也
回想・坪内祐三 / 佐伯一麦
風去りぬ――坪内祐三氏を悼む / 西村賢太
酔っ払いの天使 / 戌井昭人
*坪内祐三を探せ
坪内祐三の「文学」が気になって / 平山周吉
そんじょそこらの研究者より…… / 武藤康史
三月十一日 / 橋本倫史
*坪内祐三に誘われて
坪内さんの顔 / 南伸坊
一九七二年の世田谷ボーイ / 泉麻人
かわいい人 / 渚まゆみ
頭に浮かんだのは沢彰謙という俳優の顔だった / 小西康陽
坪内さんと行った新宿梁山泊『新・二都物語』 / 杉作J太郎
*対談
散文家・坪内祐三 / 亀和田武×壹岐真也
*青の時代
九〇年代の暢気だった日々 / 一志治夫
坪内祐三は高田馬場のギャツビーだった / 速水由紀子
大衆と未来を見つめていた考える人 / 新元良一
坪内さんの「文脈」に身をまかせたかった / 松尾潔
*一九五八年問題
SF嫌いの矜持と寂寥――坪内祐三の思想について / 浅羽通明
ときには“映画”の陽を浴びて――坪内祐三と映画、あるいはアメリカ文学をめぐる断章 / 高崎俊夫
粋でイナセな、論壇のキース・リチャーズ / 和久井光司
*酒客・坪内祐三
『シブい本』以来の畏友 / 内藤誠
坪内祐三のいない酒場 / 髙平哲郎
坪内くんのいる風景 / 芝山幹郎
ある種の太宰治 / 中沢新一
誠実な無頼 / 久世朋子
*ツボウチ・イコノロジー
「古くさいぞ私は」で始まると、マニエリスムになる――坪内祐三氏追善 / 高山宏
テニス「山口組」の坪内祐三 / 山口拓夢
目利きの条件――「坪内祐三の美術批評 眼は行動する」を読む / 林哲夫
*まぼろしをおもう
一九八六年夏、富士正晴とのわずかな交流 / 中尾務
来阪の人 / 涸沢純平
坪内さんの「街的感覚」 / 江弘毅
『まぼろしの大阪』のこと / 安藤善隆
*〈評論家〉の批評
荒御魂 / 絓 秀実
坪内祐三における「死にがい」の探求と連合赤軍――『一九七二』を読み直す / 長谷正人
ささやかな「カミ」に触れる――坪内祐三試論 / 木澤佐登志
*モラトリアムとの邂逅
坪内祐三さんのこと――「ロマンティックなエゴイスト」など / 千葉俊二
『東京人』編集者の頃の坪内さん / 浦野興治
坪内さんとの出会いと別れ / 西堂行人
『彷書月刊』編集長をやる気がなかった坪内祐三さん / 皆川秀
*アンソロジー――坪内祐三傑作五選
ロマンティックなエゴイスト/私はなぜミラン・クンデラの長編小説を読めないでいるのか――本を買うタイミングについて/十歳、二十歳、三十歳、四十歳/非国民の見たワールドカップ/「正しさ」は一つではない、とバーリンは言う / 坪内祐三
*坪内祐三日記
坪内祐三行き当たりばったり / 桑原茂夫
切れぎれの記憶から / 湯原法史
坪内さんの酒 / 大竹聡
素直な髪 / 大和邦恭
坪内さんの電話 / 名嘉真春紀
*シブい本屋
坪内祐三について思い出せること / 岡崎武志
『文庫千趣』を待ちわびて――坪内祐三と文庫本 / 服部滋
新刊書店の坪内祐三さん / 佐野衛
*同時代としての坪内祐三
追悼 坪内祐三――『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』について / 大島一洋
坪内祐三の「楕円」について / 飯窪成幸
『『別れる理由』が気になって』と『酒中日記』の日々 / 寺西直裕
文壇アウトローズ・ファンキーナイト余録 / 増田結香
『東京』について / 森山裕之
*赤堤・三軒茶屋・新宿
歴史の天使が気になって――小島信夫論と福田章二論 / 苅部直
『明治の文学』の子ども / 大澤聡
坪内祐三『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』再読 / 坂口周
*Lesson of the masters
たどり着いたと思ったらまた振り出しに戻っている――大相撲のこと / 大場純子
恩師・坪内祐三 / 赤井紀美
古くさいぞ僕は / 草彅洋平
「テレビドラマ」を観る坪内祐三――いくつかの観賞遍歴とその文学的視点 / 柿谷浩一
*ロングインタビュー
ツボウチ青年の彷徨――1978-1996 / 坪内祐三
表紙・本扉写真=『酒中日記』撮影時より(撮影=赤井紀美)
装丁=細野綾子