あしたの地震学

-日本地震学の歴史から「抗震力」へ-

神沼克伊 著

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あしたの地震学

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2020年3月20日

ISBN978-4-7917-7259-9

ほんとうの地震対策。
地震大国日本。いかに地震を予知するかこそが日本地震学の悲願だった。しかし、いまだにその願いは叶えられていない――。はたして予知は可能なのか。日本地震学の歴史をつぶさにひもとき、実際に経験したことから、専門家のあるべき姿と、どのように地震と向き合うべきかを、第一人者が考える。

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[目次]

はじめに

第1章 地震学の黎明期
1 学者のたわごと
2 地震学会の設立
3 濃尾地震の発生
   一口メモ(一)断層を見よう
4 震災予防調査会の発足
   一口メモ(二)震源までの距離を簡単に知る方法
5 今村明恒の大地震発生への警告
6 論争への火付けは新聞
7 大森房吉の火消し
   一口メモ(三)マグニチュードと震度
8 地震学者で銅像になった男
9 今村‐大森の大論争

第2章 関東大震災
1 大正関東地震の発生
   一口メモ(四)震生湖と源頼朝が渡った橋脚
2 震災予防調査会の活動
   一口メモ(五)萩原少年の旋風目撃
3 大森房吉の死
4 地震研究所の発足
   一口メモ(六)ベートーベンを聞け
5 寺田寅彦の慧眼
   一口メモ(七)教授の趣味
6 大戦中の大地震

第3章 地震予知への期待
1 南海地震の発生
2 GHQの問い合わせ
3 関東、関西、秩父、新潟各地震発生説
4 福井地震
   一口メモ(八)田んぼに飲みこまれた農婦
5 地震予知研究計画の発足
6 松代地震
7 学問が欲しい

第4章 東海地震発生説と大震法の成立
1 69年周期説
   一口メモ(九)発生時間の正確な地震情報は信じない
2 中国で地震予知に成功
3 地震予知連絡会の発足
4 マスコミに火が付いた東海地震発生説
5 大規模地震対策特別措置法(大震法)の成立
   一口メモ(一〇)富士山大噴火

第5章 地震予知への逆襲
1 阪神・淡路大震災の発生
   一口メモ(一一)大地震で私用に車を使うな
   一口メモ(一二)計測震度
2 なぜ予知できなかったか
   一口メモ(一三)宏観現象
3 全国地震動予測地図
4 緊急地震速報
   一口メモ(一四)小田原地震
5 大地震は切迫している
   一口メモ(一五)学者を黙らせる法律

第6章 すべてを壊した東北地方太平洋沖地震
1 東日本大震災の発生
   一口メモ(一六)海岸で地震を感じたらすぐ高台に逃げろ
   一口メモ(一七)津波と車
   一口メモ(一八)教師の無知で生徒の命が奪われた
2 史上最悪、最大の被害をもたらした地震
3 「想定外」の連発
   一口メモ(一九)長周期地震動
4 M9シンドローム
   一口メモ(二〇)テレビで示す学者馬鹿
5 焦点は南海トラフ沿いの地震
   一口メモ(二一)中央防災会議

第7章 「でも地震は起こらない」
1 地震発生説の総括
   一口メモ(二二)「東京直下型地震は近い」と云った人たち
2 大震法の方向転換
   一口メモ(二三)「地震予知は年寄りの仕事」
3 地震予知最大のウイークポイント
   一口メモ(二四)地震を予知したと云う男
4 関東地震の発生は二二世紀
5 南海トラフ沿いの巨大地震
6 首都圏での二二世紀問題
7 熊本地震からおかしくなった気象庁の発表
   一口メモ(二五)双発地震
8 「地震は起こらない」
   一口メモ(二六)テレビに出たかった出来事
9 究極の地震対策・抗震力

あとがき

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[著者] 神沼克伊(かみぬま・かつただ)

1937年神奈川県生まれ。固体地球物理学が専門。国立極地研究所ならびに総合研究大学院大学名誉教授。東京大学大学院理学研究科修了(理学博士)後に東京大学地震研究所に入所し、地震や火山噴火予知の研究に携わる。1966年の第八次南極観測隊に参加。1974年より国立極地研究所に移り、南極研究に携わる。2度の越冬を含め南極へは15回赴く。南極には「カミヌマ」の名前がついた地名が2箇所ある。著書に『南極情報101』(岩波ジュニア新書、1983)、『南極の現場から』(新潮選書、1985)、『地球のなかをのぞく』(講談社現代新書、1988)、『極域科学への招待』(新潮選書、1996)、『地震学者の個人的な地震対策』(三五館、1999)、『地震の教室』(古今書院、2003)、『地球環境を映す鏡 南極の科学』(講談社ブルーバックス、2009)、『みんなが知りたい南極・北極の疑問50』(ソフトバンク クリエイティブ、2010)、『次の超巨大地震はどこか?』(ソフトバンク クリエイティブ、2011)、『次の首都圏巨大地震を読み解く M9シンドロームのクスリとは?』(三五館、2013)、『白い大陸への挑戦 日本南極観測隊の60年』(現代書館、2015)、『南極の火山エレバスに魅せられて』(現代書館、2019)など多数。