その世界の猫隅に

斎藤環 著

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その世界の猫隅に

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2020年4月2日

ISBN978-4-7917-7256-8

すずさん慎太郎サティ村上隆ゴジラAI猫ダリバルテュス中上健次……
現実と表象と精神が交錯するところに何があるのか? そこに意味が付与されたとき私たちに見えている景色は――。名作名画を快刀乱麻、ファン必読の著者史上最重厚の傑作批評集、堂々登場!

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[目次]

Ⅰ 現代文学
石原慎太郎と私
潜在する「路地」のトポス
豊穣なる「ヤンキー文学」
入れ子問題、あるいは新しい「ことばの社会」
彼女と異性愛主義の闘いにおいては「発達障害」に支援せよ
二人であることの病い?
「純粋物語」の誘惑

Ⅱ 映像・アニメ・音楽
「世界観のモンタージュ」としてのキャラクター
すべては「すずさんの存在」に奉仕する
外傷の器としての…
大きな幻想の力
欲望の倫理、またはセクシュアリティ
飲み干せ、そのミルクシェイクを
Aフラットの不在
「音楽の無意識」へ

Ⅲ アートシーン
身体観光冒険課
ジェンダーとアートの新しい回路
キャラと鎮魂
技法は「少女身体」に奉仕する
ネオプラトニズムの小さな神々
「神の身体」としての少女
パラノイアに憧れる神経症者
「英雄」と「人間」のあいだ

Ⅳ 生活/文化
ポリフォニーを“聞き流す”
AIが決して人間を超えられない理由
「生きてそこにいること」の価値
欠如ゆえの愛

 

あとがき

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[著者]斎藤 環(さいとう・たまき)

1961年岩手県生まれ。精神科医。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。爽風会佐々木病院診療部長を経て、現在、筑波大学社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカン派精神分析学。「ひきこもり」問題の第一人者として臨床研究を行っている。また、マンガやアニメ、映画などのサブカルチャー批評家としても知られる。『関係の化学としての文学』(新潮社)で日本病跡学会賞を、『世界が土曜の夜の夢なら』(角川書店)で角川財団学芸賞を受賞。その他の主な著書に『猫はなぜ二次元に対抗できる唯一の三次元なのか』(青土社)、『生き延びるためのラカン』(ちくま文庫)、『中高年ひきこもり』(幻冬舎新書)などがある。