火星の旅人

-パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史-

入江哲朗 著

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火星の旅人

定価3,520円(本体3,200円)

発売日2020年1月23日

ISBN978-4-7917-7245-2

名門に生まれ、日本を旅した男はなぜ火星に魅せられたのか
ボストン・ブラーミンと称され、ハーヴァード大学の興隆に大きく寄与した名門ローエル家に生まれたパーシヴァル。詩文をよくし、科学的知性を携えた青年は19世紀末アメリカの知識階級の伝統と逸脱に揺れ動きながら、日本へ渡る。ラフカディオ・ハーンにも読まれたジャパノロジストの足跡と、ラヴクラフトのクトゥルー神話に接続する“観測”という想像力を追う、俊英による新たなるアメリカ思想史。

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[目次]

はじめに
凡例

序章 消滅する媒介者

第1章 マサチューセッツ州ボストン
1 ここは古き良きボストン
2 ローエル王朝
3 視覚的記憶
4 ボストン・ブラーミン
5 断崖からの転落

第2章 マサチューセッツ州ケンブリッジ
1 城と戦争
2 カレッジとユニテリアニズム
3 新しい教育
4 よく燃える知性
5 生まれながらの旅人

第3章 石川県鳳至郡穴水村
1 神のような本
2 倒立した世界
3 感覚の午睡
4 ロマンスと科学
5 ムードの変化

第4章 アリゾナ準州フラグスタッフ
1 入れ子構造のドラマ
2 空の灯台
3 新しい天文学
4 マーズ・ヒル
5 熱狂と衰弱

第5章 火星
1 雰囲気の病
2 お上品な伝統と大洋感情
3 錯覚説
4 我々が探し求めていた海岸
5 冥府の王

結論 イマジナリー・ライン

おわりに


略号
パーシヴァル・ローエル略年譜
人名索引

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[著者]入江哲朗(いりえ・てつろう)

1988年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程。専門はアメリカ思想史、映画批評。著書に『ウィリアム・ジェイムズのことば』(共著、岸本智典編、教育評論社、2018年)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(共著、石岡良治+三浦哲哉編、フィルムアート社、2018年)。訳書にブルース・ククリック『アメリカ哲学史——一七二〇年から二〇〇〇年まで』(共訳、勁草書房、近刊)、ロドルフ・ガシェ『脱構築の力——来日講演と論文』(共訳、宮﨑裕助編、月曜社、2020年)。