定価2,200円(本体2,000円)
発売日2020年1月24日
ISBN978-4-7917-7247-6
危機の時代を乗り越えるヒューマニズムを求めて
資本主義の限界とありうべき社会のかたちを提示した偉大なる思想家が生まれてから二〇〇年――。貧困と格差はより深刻化し、人間も自然も荒廃しつづけているいま、マルクスの深いヒューマニズムに依拠した言葉はわたしたちに何を語りかけるのか。閉塞した時代を打破する巨人の思想を、第一人者が透徹したまなざしで読み解く。
[目次]
はじめに
第1章 マルクスの思想と理論の形成と展開――そのヒューマニズムの奥行
1 出発点としてのヒューマニズム
2 ヘーゲルとフォイエルバッハをこえて
3 人間の自己疎外の構造とその克服へ
4 マルクスの労働価値説の人類史的意義
第2章 導きの糸としのて唯物史観――人類史をいかに総括するか
1 唯物史観の定式とその意義
2 市場経済の人類史的位相
3 生産諸力の発展の意義
第3章 『共産党宣言』の現代的魅力
1 不朽の名著の魅力
2 資本主義のグローバルな発展性の洞察
3 変革の見通しは失敗したのか
第4章 『資本論』をどう読むか
1 課題と方法
2 個別的なものから一般的なものへ
3 社会変革の可能性
第5章 現代世界の多重危機とマルクス
1 現代資本主義の多重危機のなかで
2 資本主義的人口法則の現代的意義
3 資本主義と自然環境破壊
第6章 二一世紀型社会主義のために
1 『資本論』の社会主義論
2 二〇世紀型社会主義の形成と崩壊
3 二一世紀型社会主義の可能性
おわりに
文献一覧
[著者] 伊藤誠(いとう・まこと)
1936年生まれ。東京大学名誉教授、日本學士院会員。東京大学経済学部教授、國學院大學経済学部教授、国士舘大学大学院グローバルアジア研究科教授を歴任。宇野弘蔵の後継者として6冊の英文著書があり国際的評価も高い。2012年にThe World Association for Political Economy, Marxian Economics Awardを、2016年に経済理論学会・ラウトレッジ国際賞をそれぞれ受賞。おもな著書に『価値と資本の理論』『資本主義経済の理論』『資本主義の限界とオルタナティブ』(岩波書店)、『信用と恐慌』(東京大学出版会)、『逆流する資本主義』(東洋経済新報社)、『現代の社会主義』『『資本論』を読む』(講談社学術文庫)、『経済学からなにを学ぶか』『入門資本主義経済』(平凡社新書)、『マルクス経済学の方法と現代世界』(桜井書店)、『サブプライムから世界恐慌へ』(青土社)、『伊藤誠著作集』全6巻(社会評論社)など。共編著に『21世紀のマルクス』(新泉社)などがある。