定価1,540円(本体1,400円)
発売日2020年1月29日
ISBN978-4-7917-1392-9
量子力学がもたらす情報社会の新時代
Googleの研究チームによる「量子超越性の実証」が報じられて以来、改めて注目を集めつつある量子コンピュータ。それは私たちの世界をどのように変えうるのだろうか。本特集ではその歴史や理論的な基礎から最新の成果まで、量子情報科学の現在形を一望するとともに、政治経済や哲学、文学など多様な観点から量子時代の行く末を考える。
【目次】
特集*量子コンピュータ――情報科学技術の新しいパラダイム
【討議】
量子をめぐるエコシステム / 江間有沙+藤井啓祐
【量子コンピュータ入門】
量子コンピュータ開発の現在と応用可能性について / 根本香絵
量子コンピュータの原理と優位性 / 竹内勇貴
量子計算を哲学してみる / 細谷曉夫
或る理論計算機科学の研究者から見た量子コンピュータ研究の歴史 / 西村治道
【歴史のなかの量子コンピュータ】
hのない量子力学――機器がつくる世界 / 佐藤文隆
【拡張する量子の科学】
情報の観点からみた量子力学 / 北島雄一郎
圏・量子情報・ビッグデータの哲学――情報物理学と量子認知科学から圏論的形而上学と量子AIネイティブまで / 丸山善宏
量子と生命 / 田中成典
「わたし」に向かって一般化される量子コンピューティング / 郡司ペギオ幸夫
【量子がひらくパンセ】
量子力学と現代の思潮 / 全 卓樹
無時間、無空間からの出発 / 内井惣七
量子力学・情報科学・社会システム論――量子情報科学の思想的地平 / 大黒岳彦
【AI・暗号・ネットワーク】
未来技術の倫理 / 河島茂生
デジタル署名、ブロックチェーンと量子アルゴリズム――新たなるサイファーパンクの夜明け / 斉藤賢爾
チャイバースペース(Chyberspace)の出現について――中国の「サイバー主権」論の背景にあるもの / 羽根次郎
【〈情報〉はどこからきて、どこへゆくのか】
情報概念の形成――一九二〇年代における物理学と工学の接近 / 河西棟馬
ホームオートメーション再考――一九八〇年代の日本が描いた二一世紀の情報化社会 / 鈴木真奈
【クォンタムな想像力】
偶然性・平行世界・この私――量子力学と文学をめぐる諸問題 / 加藤夢三
【連載●デミウルゴス●第一〇回】
虚諧(二) / 磯崎新
【連載●ポストヒューマニティーズへの百年●第二回】
実存と形而上学――ヤスパース / 浅沼光樹
【研究手帖】
ネコはバイリンガル / 高木佐保