定価2,640円(本体2,400円)
発売日2020年1月25日
ISBN978-4-7917-7242-1
なぜこの世界だけが現実なのか。なぜこの私だけが私なのか。
現実ではないけれど現実でもありえた、複数の世界がたしかに実在する、とデイヴィッド・ルイスは考えた――。私たちが後悔をすることの意味は何か。フィクションとは何か。別様な世界の可能性など、あるのだろうか。緻密に論証された可能世界論を解きほぐし、可能性や必然性をとらえ直すことで、私たちの日常はいまよりもクリアに見えるようになる。その哲学の魅力と明晰さをとらえる革命的入門書。
[目次]
はじめに
第1章 可能世界と様相
1 形而上学的可能性
2 可能世界とは何か――様相実在論の内実
3 どのような可能世界が存在するのか――組み換え原理
4 現実性についての指標理論――時空と様相の類比
5 事象様相と対応者理論
第2章 反事実条件文
1 反事実条件文とその性質
2 可能世界を用いた反事実条件文の分析
3 世界間の類似性基準
第3章 因 果
1 単称因果と出来事
2 因果と反事実的依存
3 ルイスの因果分析の問題
4 様相的に脆い出来事
5 因果は過程に内在的か――内在的アプローチ
6 内在性アプローチの問題
7 影響としての因果――ルイスの第二の因果分析
第4章 フィクション
1 フィクションに書かれていないが真であること
2 現実の真理がフィクション内の真理に与える影響
3 人々の信念がフィクション内の真理に与える影響
4 フィクション間の相互作用
第5章 知 識
1 外界についての懐疑論
2 ムーア主義
3 知識閉包を否定する戦略
4 知識についての文脈主義
キーワード解説
読書案内と問題
あとがき
注
参考文献/記号表
[著者] 野上志学(のがみ・しがく)
1990年岡山生まれ。日本学術振興会特別研究員(DC2)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程。専門は分析哲学。研究関心は特に認識論とメタ倫理学。主な論文に「認識論と論理の規範性」(『哲学雑誌』)、「道徳についての選択的虚構主義」(『哲学』近刊)など、訳書にチェイス・レン『真理』(岩波書店)がある。