定価2,420円(本体2,200円)
発売日2020年1月25日
ISBN978-4-7917-7244-5
誰が為に教育はあるのか?
迷走する入試改革問題の背後にひかえているのは、教育の、国家によるさらなる統制と、市場へのさらなる誘導である。ゆとり教育、教育基本法改定から、政権交代とその挫折、さらには奨学金問題までをいっきに総点検することで浮かび上がってくるのは、私たちが直視しなければならない〈教育の現代史〉である。
[目次]
はじめに
第一部 新自由主義と国家主義――ゆとり教育と教育基本法 1999―2008
「卓越性」の支配――「選択・責任・連帯の教育改革」批判
象徴資本としての「個性」
教育をめぐる対話――一九八〇年代から二〇〇一年
近代教育への問い直し
教育を取り戻すために
民主から愛国へ――教育基本法改正論批判
教育は誰のものなのか――教育基本法「改正」問題のアリーナ
格差と排除の教育マニュアル
学校改革とは何か
第二部 希望と絶望――政権交代と貧困 2009―2018
教育政策の行方――新自由主義・国家主義からの転換は可能か?
「政治の時代」の到来
大阪教育行政二〇一一〜二〇一二
ブラックバイト・全身就活・貧困ビジネスとしての奨学金
貧困化する大学生と経済的徴兵制
教育の危機を問い直す
奨学金問題の現状と今後の課題
長めの〈あとがき〉 2019―2020
[著者] 大内裕和(おおうち・ひろかず)
1967年神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程をへて、現在は中京大学教授。専門は教育学・教育社会学。奨学金問題対策全国会議共同代表。「入試改革を考える会」代表。「学生であることを尊重しないアルバイト」のことを「ブラックバイト」と名づけて、社会問題として提起する。主な著書に『ブラック化する教育』(青土社、2015年)、『ブラック化する教育2014-2018』(青土社、2018年)、『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書、2017年)、『ブラックバイトに騙されるな!』(集英社、2016年)などがある。