定価2,640円(本体2,400円)
発売日2019年11月22日
ISBN978-4-7917-7234-6
見る者に「物語」を呼び込む絵画とは何か。
光と影の交錯する夜の都会に、人影ない岬に、下町の裏窓に、喧騒と孤立、犯罪めいた雰囲気、にじみ出るエロティックな想念……。ノスタルジーと、ハードボイルド、サスペンスを想起させつつ、現代人の喪失感・孤独・疎外意識を描くエドワード・ホッパー。その魅力の源泉を、大胆自由に探究する意欲的な評論。
【目次】
第1部
―――
❶
エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』
1.「ホッパーを見ながら」
2.距離
3. ハードボイルド・アメリカ
4.説明はしない
5.「ナイトホーク」
6.構図
7.孤独なのか
8.影響
9.どう見るのか
10.再び「ホッパーを見ながら」
❷
エドワード・ホッパーの「光」と「陰」そして……
1.プロローグにしてエピローグ「そして……」
2.光そして陰
3.早朝の光、そして陰
4.「女ひとり」
5.「男ひとり」
6.「ベッドのふたり」
7.「建物」
8.「空っぽの部屋」
9.「孤独」
10.エピローグにしてプロローグ「そして、ナイトホークス」
第2部
――――
アドルノ、グロイス、ゲーリーそして美術館――美術館に関する若干の覚書
1.はじめに
2.グロイス
3.ゲーリー
4.美術館外アートという問題、そして社会の中の美術館
あとがき
[著者]青木保(あおき・たもつ)
1938年生まれ。文化人 類学者。タイを中心にアジア各地でフィールドワーク。1972-73年、バンコクのタイ仏教寺院で得度修行。東大大学院修了。大阪大学で博士号。阪大・東大・政策研究大学院大学などの教授。欧・米の大学で客員教授。また文化庁長官や国立新美術館館長なども務める。著書に、『タイの僧院にて』『境界の時間』『日本文化論の変容』(吉野作造賞)『儀礼の象徴性』(サントリー学芸賞)『文化力の時代』など多数。ジャズとミステリーそしてカフェを愛する。