定価2,860円(本体2,600円)
発売日2019年11月22日
ISBN978-4-7917-7232-2
人には、それぞれの東京がある。
東京に行けばなんでもある。仕事も、モノも、夢も――。
なぜ東京だけが特別なのか。戦後日本を生きる人びとが記憶する首都イメージは、いつどのように形成されたのか。放送局や電波塔の立地、五輪中継の舞台裏、「編成」の概念や「月9」の誕生、お台場の歴史にいたるまで。膨大なアーカイブから戦後のテレビ史を丹念に掘り起こし、そこに見いだされ、演出され、記憶された〈東京〉なるもののかたちをたどる。
[目次]
序論 東京の語りにくさ
1 はじめに
2 東京の語り方
3 メディア史的東京論へ
4 なぜテレビから東京を論じるのか
5 本書の枠組みと構成
第1章 東京にはすべてがある――〈東京〉措定の時代 一九五〇年代~六〇年代
1 遠視の誕生
2 初期ドキュメンタリーが描く〈東京〉
3 近代都市・東京を遠視するテレビ
第2章 遠くへ行きたい――〈東京〉喪失の時代 一九七〇年代~八〇年代前半
1 遠視の分散
2 テレビが描く近代都市・東京批判
3 東京の不在を遠視するテレビ
第3章 「お台場」の誕生――〈東京〉自作自演の時代 一九八〇年代後半~九〇年代
1 遠視の変形
2 世界都市・東京の表象
3 恋愛を遠視するテレビ
第4章 スカイツリーのふもとで――〈東京〉残映の時代 二〇〇〇年代~一〇年代
1 遠視の終焉
2 テレビが描く東京の格差
3 残映を遠視するテレビ
結語 東京がテレビを求めた戦後
あとがき
註
参考資料
引用・参考文献
索引
[著者]松山秀明(まつやま・ひであき)
1986 年生まれ。東北大学工学部建築・社会環境工学科卒業。東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程単位取得退学。博士(学際情報学)。現在、関西大学社会学部准教授。共著に『メディアが震えた―テレビ・ラジオと東日本大震災』(東京大学出版会、2013 年)、『新放送論』(学文社、2018 年)、『転形期のメディオロジー―一九五〇年代日本の芸術とメディアの再編成』(森話社、2019 年)などがある。