定価1,760円(本体1,600円)
発売日2019年10月28日
ISBN978-4-7917-0376-0
彼らはなぜ歌って踊り、わたしたちはなぜそれを愛するのか
男性アイドルは語られてこなかった。多くのアイドルについての著述がなされるなか、どれだけ総体としての男性アイドルを捉えようとされてきただろうか。あるいはひとつの事務所やメジャーなグループに代表され、それを敷衍しながら論じられることはあっただろう。いや、ほとんどそうであったと言っても過言ではない。およそ戦後の男性アイドルとはその別名であったのだから、けれどもいまそれは超歴史的に俯瞰されなければならない。男性アイドルは批評されなければならない。
【目次】
総特集*日本の男性アイドル
❖インタビュー――男性アイドルの視座
七人の出発点・通過点・到達点 / 7ORDER project
❖男性アイドルの時代
戦後日本のかっこかわいさを讃えて――ジャニ系と時代 / 千葉雅也
少年神たちの神殿のゆくえ――永遠の少年元型とアイドルたち / 鏡 リュウジ
ジャニーズの戦後史――ジャニー喜多川はなにを残したのか? / 太田省一
川﨑麻世論――アイドル不遇の時代を生き、支えた、ある美少年の栄光と受難 / 栗原裕一郎
マイケル・ジャクソンに認められた男 / 岡野 誠
男性アイドル雑誌の地政学 / 辻 泉
日本の男性アイドルの文化人類学――「未熟さ」を愛でるファン文化の検討 / カキン・オクサナ
❖対談――男性アイドルの論点
普通の男の子と王子様――アイドルというコンセプトをめぐって / 阿久津愼太郎 足立伊織
❖男性アイドルの基点
ジャニー喜多川という少女 / トモコ
ジャニーズの関係性はホモソーシャルか――〈絆〉の表現が揺るがすもの / 西原麻里
ワイルドサイドを歩け――加藤シゲアキ論 / 矢野利裕
セクシーゾーンの解放――楽曲「Peach!」におけるジェンダー交差歌唱の効果 / 青田麻未
「アイドルと共に生きてきた」――King & Princeと高木ユーナ『ドルメンX』 / 岩川ありさ
新緑のアクアリウム――ジャニー喜多川の少年愛 / 柴田英里
❖男性アイドルの古今
人形の恋――『男色大鑑』巻八「執念は箱入りの男」 / 井原西鶴 訳=須永朝彦
❖インタビュー――男性アイドルの展開
男性アイドルはイケメンなのか――あるいは好きになるということ / 歌広場 淳(ゴールデンボンバー)
彼の二つの身体 / 木津つばさ(XOX)
❖男性アイドルの接線
誰が舞台俳優を消費するのか / 松澤くれは
メンズ地下アイドルと誕生日とガチ恋の話 / 山野萌絵
「推す」という隘路とその倫理――愛について / 筒井晴香
多様化する男性アイドル――若手俳優・ボーイズグループ・王子たち / 田中東子
まぼろしのグランギニョール――『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ~Memory of Marionette~』が織りなすアイドルという呪いと希望 / 上田麻由子
“EXILE系"というセルフイメージを次々と覆すことがいつしか偶像(アイドル)化に繋がった / 西森路代
メンズアイドルの見えざる世界――「指チュー」の向こう側 / 上岡磨奈
少女マンガにおけるアイドル的な存在の歴史的変遷 / 日高利泰
❖インタビュー――男性アイドルの未来
キャラクターがアイドルになるとき――声優の外側と内側 / 永塚拓馬
現場にはすべてがある――僕たちのいるところ、みんなのいるところ / CUBERS
❖男性アイドルの外延
モーニング娘。に憧れた男の子 / 末吉9太郎(CUBERS)
碑面の禁じられた検閲 / 大木貢祐
男性アイドルを書くということ。 / 内田裕基
エイジング・ボディ――男性アイドルの身体論 / 星野 太
ギャ男であるということ、すなわちバンギャになるということ――ヴィジュアル系におけるフロアの論理を再考する / 米田 翼
女性向けAV男優という「エロティック・アイドル」――若さ・素・顔 / 服部恵典
偏在する「人気者(アイドル)」たち――男性インフルエンサーの凡庸さをめぐる試論的考察 / 藤嶋陽子
恋愛のリアリティ?――フォトジェニックな`青春'の罠 / 田島悠来
装幀=今垣知沙子