定価1,540円(本体1,400円)
発売日2019年9月27日
ISBN978-4-7917-0375-3
トニ・モリスンの魅力に迫る、緊急追悼特集
デビュー作『青い眼がほしい』(1970年)から『スーラ』(1973年)、『ソロモンの歌』(1977年)、ピューリッツァー賞を受賞した『ビラヴド』(1987年)から『ホーム』(2012年)、『神よ、あの子を守りたまえ』(2015年)に至るまで、人種/民族、ジェンダーやフェミニズムをモチーフとした小説を刊行しつづけ、アフリカ系アメリカ人として初めてノーベル文学賞を授与された稀代の作家、トニ・モリスン。現代日本においてもっとも読まれるべきこの巨星の軌跡を追うために、われわれはあらためて物語の深淵を覗きこみ、圧倒されなくてはならない。
【目次】
特集*トニ・モリスン――『青い眼がほしい』『ソロモンの歌』『ビラヴド』『神よ、あの子を守りたまえ』
❖対談
祝福と呪いの小説家――トニ・モリスンと女たち / 西 加奈子×荒 このみ
❖〈ホーム〉の心像
「ホーム」を探して / 大社淑子
わたしが、欲しかったのは…… / 温又柔
❖新たなモリスン批評のために
Fearless Morrison Critique――恐れなきモリスン論への一考察 / 新田啓子
文学は真実を語りうるのか――トニ・モリスンの挑戦 / 藤平育子
❖作品論
『青い眼がほしい』再読――時空を超えて甦るある少女の物語 / 森 あおい
『スーラ』における暴力と同性愛 / 鵜殿えりか
『ビラヴド』と、その時代 / 青木耕平
“From Freezing to Hot to Cool”――『ジャズ』におけるジャズと暴力 / 佐久間由梨
深い皮膚――『神よ、あの子を守りたまえ』における商品化された「黒さ」と触覚的身体 / 高村峰生
❖いくつものモリスン
声なき者たちの破片を集めて――最新ドキュメンタリーからわかるトニ・モリスンの魅力と功績 / 押野素子
孤独の果てのエピファニー / 小澤みゆき
「フォークナリアン」としてのトニ・モリスン / 諏訪部浩一
ストレンジャーとの戯れ / 有光道生
恩寵を見ること――ジョナサン・デミ『愛されし者』Belovedにおける「再記憶」との遭遇 / 冨塚亮平
トニ・モリスンと津島佑子 / 小林富久子
❖テクストが交わる地平
からだであるあなたを愛しなさい、と彼女は言った――トニ・モリスンにおける内的自由の可能性 / 石川千暁
トニ・モリスンと歴史的トラウマ表象 / 宮本敬子
“You Who Never Was There”再考――トニ・モリスンと部外者のリスク / 阿部幸大
ジャングル! ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル!――トニ・モリスンと擬獣化の時空 / 逆巻しとね
❖資料
トニ・モリスン作品解題 / 深瀬有希子
❖私が出会った人々*46
故旧哀傷・岸田衿子 / 中村稔
❖詩
彫刻/日記 / カニエ・ナハ
❖今月の作品
スズキあおぞら・千種創一・小林・故永しほる・ゆずりはすみれ / 選=水無田気流
❖われ発見せり
持続のあとで / 瀬下翔太
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