定価1,540円(本体1,400円)
発売日2019年5月27日
ISBN978-4-7917-1382-0
失われた未来を取り戻す、資本主義への最終応答
加速主義という新たな思想的潮流。そこでは根底的な社会変化を引き起こすために、資本主義制度、あるいはそれを歴史的に特徴づけてきた技術的プロセスを、あえて拡大し、再利用し、加速するべきであるとされる。閉塞感に満ちた現代社会を打破するような不思議な力によって、それは私たちを否応なく変えてくれるのではないか、あるいは変えてしまうのではないか――そういった来たるべきなにかへの期待と不安が渦巻いているなか、加速主義のもつ可能性を、その新反動主義の一面も含めて明らかにする。
【目次】
特集*加速主義――資本主義の疾走、未来への〈脱出〉
【討議】
加速主義の政治的可能性と哲学的射程 / 千葉雅也+河南瑠莉+S・ブロイ+仲山ひふみ
【加速主義の源流】
暗黒啓蒙(抄) / N・ランド/五井健太郎訳・解題
【資本主義のはざまで生きる】
転形期の未来――新反動主義かアシッド共産主義か / 水嶋一憲
気をつけろ、外は砂漠が広がっている――マーク・フィッシャー私論 / 木澤佐登志
【継承と共鳴】
さまよえる抽象 / R・ブラシエ/星野太訳・解題
加速主義から思弁的実在論へ――ブラシエとグラント / 浅沼光樹
死の向こう側 / 小倉拓也
【解放への道程】
『加速主義読本』序論(抄) / R・マッカイ+A・アヴァネシアン/小泉空訳
加速主義の系譜学――『加速主義読本』序論解題 / 小泉空
ポスト労働社会の想像と四つの要求 / 川村覚文
【幻視される特異点】
ゲーデル・シンギュラリティ・加速主義――近代以降の世界像の変容とその揺り戻し / 丸山善宏
The System of Hyper-Hype Theory-Fictions / 樋口恭介
【複数化する未来線】
啓蒙の終わりの後に、何が始まろうとするのか? / Y・ホイ/河南瑠莉訳・解題
ブロメテアニズム / A・ギャロウェイ/増田展大訳・解題
【フェミニズムによる応答】
プロメテアン労働とドメスティック・リアリズム / H・へスター/三浦尚仁+依田富子訳
【ここにある〈出口〉】
「大きな思想」と「小さな日常」が乖離するとき――ダークな思想を持った人たちの演出について / C・ローウィー
スティーヴ・グッドマン諸作における人類消滅後の全自動ホテルが示すもの / 髙橋勇人
連載●デミウルゴス●第三回
見取り図(三) / 磯崎新
連載●科学者の散歩道●第五九回
揺れる学界諸事――「戦後成長」の終焉とグローバル化 / 佐藤文隆
【研究手帖】
結婚式のデモクラシー / 横田祐美子