定価3,960円(本体3,600円)
発売日2019年6月11日
ISBN978-4-7917-7169-1
絶望と勇気! 現代思想の次なる航海
我々が〈現在〉の外へ出るために、いま〈内在の哲学〉の哲学的基盤が必要とされている。カヴァイエス、シモンドン、ドゥルーズ、バディウ、メイヤスーらを射程に、エピステモロジー、シミュラークル論、プラトニスムといった複線を展開、「内在」と「外」、そして「脳」へと、哲学界の俊英が思考の臨界に迫る。
【目次】
序 現在の〈外〉を思考するために
第一部 エピステモロジーとドゥルーズ
1 カヴァイエスの問題論的観点から見た科学的構造の生成――来るべきエピステモロジーのために
2 ドゥルーズの科学論――問い‐存在に向かうプラトニスムの転倒。『差異と反復』の解釈
3 エピステモロジーの伏流としてのスピノザ、あるいはプラトン――Knox Peden, Spinoza contra Phenomenology. French Rationalism from Cavaillès to Deleuzeを読む
4 ドゥルーズはシモンドンの議論をいかに理解し使用したか――ドゥルーズの忠実さと過剰さ
5 アナロジーとパラロジー
6 存在論をおりること、あるいは転倒したプラトニスムの過程的イデア論――ポスト・バディウのドゥルーズ
7 メイヤスーとバディウ――真理の一義性について
第二部 カヴァイエス、ドゥルーズをへてスピノザへの回帰と〈外〉の思考
8 カヴァイエス、エピステモロジー、スピノザ
9 カヴァイエスの哲学における「操作」概念の実在論的理解のために
10 ある理論が美しいといわれるとき、その真の理由は何でありうるか
11 カヴァイエスの「一般化の理論」の形式化に向けた考察――フロリディの「情報実在論」とカヴァイエスのフッサール批判
12 「問題‐認識論」と「問い‐存在論」――ドゥルーズからメイヤスー、デランダへ
第三部 〈内在の哲学〉への道程
13 普遍的精神から、ネットワーク状のプシューケーでなく、特異的プシューケーへ――思考の脱植民地化とEndo-epistemologyへの転回のために
14 「内在の哲学」序説――知性の問題論的転回
15 哲学の外部であり同時にその内在平面でもある「脳」――「思考するのはまさに脳であり、人間ではない。なぜなら人間とはひとつの脳的結晶化にすぎないのだから」というドゥルーズとガタリ『哲学とは何か』結論部の文言の読解について
16 郡司ペギオ幸夫『天然知能』の要約と注解
17 現代思想の古層と表層のダイアグラム
註
参考文献
あとがきと謝辞
[著者] 近藤和敬(こんどう・かずのり)
1979年生まれ。福井県で育つ。哲学者。大阪大学人間科学部卒業、同大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学。大阪大学博士(人間科学)。専門はエピステモロジー、概念の哲学、現代思想。現在、鹿児島大学法文教育学域法文学系准教授。フランス現代哲学を基礎に、古代・中世・近代と時代を越えた哲学相互の関係・連環をさぐる。主な著書に『数学的経験の哲学――エピステモロジーの冒険』(青土社)、『構造と生成Ⅰ カヴァイエス研究』(月曜社)などがある。