ファンタジーを読む

-『指輪物語』、『ハリー・ポッター』、そしてネオ・ファンタジーへ-

井辻朱美 著

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定価2,200円(本体2,000円)

発売日2019年4月20日

ISBN978-4-7917-7164-6

ファンタジーはどこへゆくのか?
トールキンの『指輪物語』から始まったモダン・ファンタジーの歴史。「ここ」とは違う場所へのあこがれを一身にひきうけてきたファンタジーは、いまどうなっているのだろう?
トールキン、エンデ、ル=グウィン、ローリング、荻原規子、小野不由美、そして……

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【目次】

Ⅰ ファンタジーからネオ・ファンタジーへ
第1章 対・現実から脱・現実へ ――ネオ・ファンタジーの流れ
第2章 二重性の文学としてのファンタジー ――『ナルニア』から『指輪物語』そして映像の時代へ
第3章 ファンタジーとはなにか ――遠近法の文学

Ⅱ 海外篇――層をなす構造の力学
 ミヒャエル・エンデ
第4章 「虚構の可視化」へ舵を切った児童文学ファンタジー ――絵にならないものは書かない
 アーシュラ・K・ル=グウィン
第5章 元型とミセス・ブラウン ――あるいはアニメ映画というファンタジー
 J・K・ローリング
第6章 「モノ」語りの宇宙 ――そしてハグリッドはどこにいるのか?

Ⅲ 国内篇――気配と語りの醸成する気圏
 荻原規子
第7章 気配と密度のファンタジー ――うしろの正面だあれ
 小野不由美
第8章 少女と怪異と一人称 ――多重視点の語りが照らしだすもの
 現代短歌そして穂村弘
第9章 マルシェとしての『かばん』から ――遊びをせんとや、多言語文化と多声のカーニヴァル、そして穂村弘

Ⅳ いま、ここのファンタジー
第10章 「つくも神」 ――妖精・妖怪が環境知能として復活する
第11章 映画ならではの“現実創出”の試み ――映画『BFJ』はダールの語り口を超えて
第12章 開花するファンタジー

補章 〈型〉の挑戦 そして芝居の〈内〉と〈外〉 ――時は元禄、江戸の御代、未確認飛行物体ゆーえふおー(義太夫詞章)

おわりに

初出一覧

虚構の自立としてのネオ・ファンタジー年表

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[著者] 井辻朱美(いつじ・あけみ

1955年生まれ。歌人・作家・翻訳家。東京大学理学部生物学科卒・同大学院総合文化系研究科比較文学比較文化専攻修了。現在、白百合女子大学人間総合学部児童文化学科教授。主な著書に『水晶散歩』(歌集、沖積舎)、『クラウド』(歌集、北冬舎)、『風街物語・完全版』(小説、アトリエOTCA)、『ファンタジーの魔法空間』(岩波書店)、『魔法のほうき ファンタジーの癒し』(廣済堂出版)、『ファンタジー万華鏡』(研究社)など。訳書にマイクル・ムアコック『エルリック・サーガ』シリーズ(早川書房)、O・R・メリング『歌う石』(講談社)など多数。