バタイユと芸術

-アルテラシオンの思想-

酒井健 著

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バタイユと芸術

定価本体3400円+税

発売日2019年4月24日

ISBN978-4-7917-7165-3

哲学、宗教、歴史へ視野を広げて読み解く渾身の『ドキュマン』論
「物」への礼賛でなく、「物」への全面否定でもない、第三の道が求められていた。バタイユのアルテラシオンは、「物」の変質こそを求めているのであって、芸術思想の上でこの第三の道を行く試みだった」。第一人者が、その思想の淵源に迫る、かつてないバタイユ論。

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【目次】

まえがき

第Ⅰ部 人と社会に変化を求める芸術

第1章 新たな様相の思想
はじめに/1 主観的な資料なのか/2 新たな考古学/3 トロカデロ民族誌学博物館/4 画家と民族誌学/5 「様相」と二つの反応/6 象徴解釈/7 欲望の新考古学主義

第2章 人体、人間、民族誌学――『ドキュマン』前夜から
はじめに/1 外見主義の呪縛/2 植民地主義を支える人間観/3 モンテーニュと文化相対主義/4 他者を表出させる美学/5 「消えたアメリカ」から見て取れる『ドキュマン』の人体観/6 自然の逸脱

第3章 表出と批判――『ドキュマン』の図像世界
はじめに/1 墓地に現れる鬼火/2 発作の表現/3 異質な表象/4 絶えざるアルテラシオン

第4章 転覆、そして浮遊する空間
はじめに/1 歴史主義の外へ/2 自然の自己反抗と人類史、そして近代造形美術の流れ/3 歴史のモデルを提示するのではなく、歴史の現場を出現させる/4 大洪水の空間――黙示録の彼方へ/結びに代えて

第Ⅱ部 芸術と哲学

第1章 若きバタイユとシェストフの教え――「星の友情」の軌跡
はじめに/1 シェストフとバタイユ/2 「地盤喪失」と「生の境」/3 総体性の体験と記述/4 同じ港のなかで/5 別々の航路へ

第2章 プラトンの受容――シェストフ、バタイユ、デリダ
はじめに/1 時代の制約/2 近代フランスのプラトン像/3 シェストフからバタイユへ/4 理性の他者に目覚める理性/5 太陽を正視する/6 パロディの力/7 「コーラ」へ/8 デリダの洞察/結びに代えて

第3章 存在と観照――バタイユの論考「八〇日間世界一周」をめぐって
はじめに/1 「存在する(être)」ことの哲学/2 見る(voir)/3 崇高なものを観照する/4 孤独な散歩者の夢想/5 時間、存在、「突飛な表出」/6 世界とパロディ/結びに代えて

第Ⅲ部 『ドキュマン』からの変化

第1章 ゴッホ論のゆくえ
はじめに/1 ゴッホと太陽の美学/2 表現空間と二つの極み――トドロフとともに/3 「形象的思考」――ボンヌフォワとともに/4 「暗示的色彩」/5 「精神の地下聖堂」/6 《種蒔く人》と《麦刈る人》/7 「形象」と共同体――バタイユとともに/結びに代えて

第2章 「現代精神」のゆくえ――芸術を宗教の地平へ開かせる
はじめに/1 「現代精神」とダダイスム/2 行き詰まる前衛/3 異質なものから遠ざかる「移し替え」/4 「聖なるもの」へ/5 「聖杯」を探し求めた「現代精神」/6 移動する交わり/結びに代えて

 

資料1
資料2
あとがき
初出一覧
人名索引

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[著者] 酒井健(さかい・たけし)

1954年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、同大学大学院へ進学。パリ大学でジョルジュ・バタイユ論により博士号取得。現在、法政大学文学部教授。2000年に『ゴシックとは何か』でサントリー学芸賞受賞。そのほかの著書に『バタイユ そのパトスとタナトス』(現代思潮新社)、『バタイユ入門』(ちくま新書)、『バタイユ 聖性の探究者』(人文書院)、『バタイユ 魅惑する思想』(白水社)、『バタイユ』、『夜の哲学 バタイユから生の深淵へ』(いずれも、青土社)、『シュルレアリスム 終りなき革命』(中公新書)、『「魂」の思想史 近代の異端者とともに』(筑摩選書)、『絵画と現代思想』(新書館)、『死と生の遊び 縄文からクレーまで』(魁星出版)など。バタイユの訳書に『純然たる幸福』、『ランスの大聖堂』、『エロティシズム』、『ニーチェ覚書』(いずれも、ちくま学芸文庫)、『ヒロシマの人々の物語』、『魔法使いの弟子』、『太陽肛門』(いずれも、景文館書店)など。