政治的省察

-政治の根底にあるもの-

宇野邦一 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
政治的省察

定価本体3200円+税

発売日2019年3月24日

ISBN978-4-7917-7166-0

私たちの前には見るも無残な「政治の砂漠」が開けている――
いま起こっていることから丁寧にひとつひとつ思索をつみかさね、フーコー、そしてアレントへと考究を深めていく。権力、民主主義、シニシズム、国家、憲法、管理社会、自己への配慮、公共性……。自分自身をふくめあらゆるものが連鎖し、もはや境界もなくつながっている「政治」という荒野で、これまで対峙してこなかった政治学的知から政治思想までをつぶさに捉え返し、政治とは何かを問う、著者渾身の書。

line2.gif

【目次】

序論

第1章 問いの移動――政治があるところに政治はないか?
1 政治はどこにあるのか/2 機械とは何か/3 国家は「幻想」か/4 権力の次元/5 国家とその外部の政治/6 困難な自由

第2章 シニシズムは超えられるか、超えるべきものか
1 政治はシニシズムでしかありえないか/2 大審問官/3 〈道徳〉をめぐるシニシズム/4 シニシズムの〈哲学〉/5 「一般意志」はどこにあるか

第3章 国家の外の生
1 なぜ、どのように国家を問題にするのか/2 暴力装置の正体/3 クラストルの(反)国家論/4 『千のプラトー』の国家論/5 廃絶のプログラム

第4章 憲法とアンティゴネー
1 憲法のジレンマ/2 「主権」という問題、文学者の告発/3 誰が、何のために、追悼するか/4 憲法と国家は一体か/5 憲法論の視角

第5章 民衆のいない民主主義
1 民衆はいないのか/2 不可能な民主主義/3 民主主義が憎悪される

第6章 最悪の政治
1 思考実験として/2 隷属と服従、規律と管理/3 政治にとって嘘とは何か/4 政治の砂漠

第7章 公共性と自由意志――ハンナ・アレントの思想
1 アレントと哲学/2 自己、意志、自由/3 自己の倫理学/4 アウグスティヌスあるいは「世界性」

第8章 フーコー『肉の告白』を読む
1 移動の痕跡/2 『肉の告白』には何が書いてあるか/3 『肉の告白』Ⅰ――「新しい経験の形成」/4 『肉の告白』Ⅱ――「純潔であること」/5 『肉の告白』Ⅲ――「結婚すること」/6 〈意志〉という新しい問い

第9章 「アナルケオロジー」へ――最後のフーコー
1 権力を問う/2 問いの転換/3 自己、そして〈ふるまい〉のテクノロジー/4 「アナルケオロジー」の提案/5 政治の外部へ? 最後の展開/6 〈主体化〉という問い、いくつかのアプローチ

終章 政治の根底にあるもの
1 ハンナ・アレントへのオマージュ/2 政治と自己、自己への配慮、関係の政治


付記
初出一覧

人名索引

line2.gif

[著者] 宇野邦一(うの・くにいち)

1948年島根県松江市生まれ。哲学者、フランス文学者。京都大学文学部卒業後、パリ第8大学でジル・ドゥルーズの指導をうける。1980年にアントナン・アルトーについての研究で博士号取得。1979年には「文学の終末について」が第22回群像新人文学賞評論部門優秀作となる。著書に『ドゥルーズ――流動の哲学』(講談社選書メチエ)、『ジャン・ジュネ――身振りと内在平面』(以文社)、『〈単なる生〉の哲学――生の思想のゆくえ』(平凡社)、『映像身体論』、『吉本隆明――煉獄の作法』(以上、みすず書房)、『ドゥルーズ――群れと結晶』(河出ブックス)、『反歴史論』(講談社学術文庫)、『〈兆候〉の哲学――思想のモチーフ26』など。訳書にアントナン・アルトー『神の裁きと訣別するため』(鈴木創士氏との共訳)、ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス』(以上、河出文庫)、ジャン・ジュネ『判決』(みすず書房)など。