定価2,200円(本体2,000円)
発売日2019年4月23日
ISBN978-4-7917-7161-5
北欧の高齢者介護の表と裏を照らす
風土、家族、地域、自由、記憶。5つの章から、フィンランドの高齢者介護のリアルを描き出す。親族介護者、ディアコニ、帰還担当官、メモリーコーディネイターなど、さまざまな人びとに支えられるケアの現場に、何を見いだすことができるのか。島嶼地域に暮らす独居高齢者を長年にわたり調査してきた気鋭の文化人類学者が、制度と実践の両面から「年老いていくこと」の本質をすくいとる。
【目次】
第1章 風土
1 福祉と天気
2 岩礁海域
3 心変わりと空
4 まとめ――群島町の天候‐世界
第2章 家族
1 北欧型福祉国家と家族
2 公的ケア、私的ケア
3 親族介護
4 まとめ――ゆっくりと家族になっていく
第3章 地域
1 フィールドワークのはじまり
2 現場に入る
3 慈善、博愛、福祉
4 フィールドワーカーのホリズム
5 まとめ――コミュニティという幻想
第4章 自由
1 独居する人びと
2 強い選択
3 新たな自由
4 まとめ――古い自由、新たな自由
第5章 記憶
1 認知症と社会
2 記憶と文化
3 まとめ――老いること、忘れること(覚えていること)
おわりに
参考文献
[著者] 髙橋絵里香(たかはし・えりか)
千葉大学人文科学研究院准教授。1976年、東京都生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。専門は文化人類学、医療人類学。フィンランドの島嶼地域をフィールドに、高齢者ケアの人類学的研究をおこなっている。単著『老いを歩む人びと――高齢者の日常からみた福祉国家フィンランドの民族誌』(勁草書房、二〇一三年)。