平成テレビジョン・スタディーズ

太田省一 著

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平成テレビジョン・スタディーズ

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2019年4月23日

ISBN978-4-7917-7156-1

平成が終わっても、テレビのことは嫌いにならないでください。
タモリはなぜお散歩するのか。阿川佐和子の「聞く力」とはなにか。アイドルはなぜ「卒業」するのか。SMAPはバラエティをどう変えたのか。「女子アナ」はいつ誕生したのか。山田孝之はなぜ「真顔」なのか。深夜ドラマの深夜性とはなにか。この30年のテレビに映された「平成」の輪郭を描き出す、現代日本の大衆文化史。

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【目次】

序章 テレビは平成をどう切り拓いたか
荒野もまた楽し/よりマニアックに!/「素人」の時代/旅するテレビ・散歩するテレビ/深夜ドラマの秘かな連帯/アイドルとともに歩んだ平成

Ⅰ 昭和の残像、平成の名残
第Ⅰ部について

1 昭和の『紅白』と平成の『紅白』
『紅白』を「線」でとらえる/『紅白』にこめられた「スリーS」/大晦日である意味/充実期を迎えた一九七〇年代/一九八〇年代の爛熟と転機/平成の『紅白』へ/SMAPが担った時代/『紅白』の現在/テレビの総力が結集される番組

2 「東京」から「TOKYO」へ ――東京ソング変遷史
歌は東京につれ……/焼け跡の光と影/上京と望郷の物語/変貌する東京のなかで/東京をめぐる新しい詩情/消費都市TOKYO/アイドルが歌う東京幻想

3 漫画家アイドル・赤塚不二夫 ――ナンセンスを生きるということ
コスプレする漫画家/方法としてのセンス/キャラクターのアイドル化/「バカ」という生き方/七〇年代から現代へ

4 「女子アナ」の誕生 ――アナウンサーたちの戦後史
女性アナと女子アナ/「女子アナ」以前/「女子アナ」の誕生、その時代背景/最盛期を迎えた「女子アナ」/「女子アナ」の歴史の終わり/多様化する女性アナと残された課題

 

Ⅱ バラエティは散歩する
第Ⅱ部について

5 「テレビの人」、阿川佐和子を読み解く
トーク番組はライブである/久米宏、黒柳徹子、そして阿川佐和子/バイプレーヤーが主役になる時代/マツコとサワコ/二世らしくない二世/精神としての「子ども」

6 ユルさとガチとコミュニティ ――最近のバラエティ番組についての社会学的一考察
『路線バスの旅』のユルさ/〈ネタへのリテラシー〉から〈ガチのリテラシー〉へ/出演するスタッフ/新たなコミュニティの発見/SNSは、テレビにとってコミュニティになりうるか?

7 趣味人・タモリ ――今、視聴者が求める理想の「おとな」とは
旅するタモリ/「低俗」から素人へ/タモリの登場/趣味人・タモリ/新しい成熟のかたち

8 なぜ、テレビは散歩番組を作るのか ――「ハレ」のメディアから「ケ」のメディアへ
散歩番組の魅力とは/散歩番組の系譜/散歩番組の現在/散歩番組から読み取れるもの

 

Ⅲ 深夜ドラマの時代
第Ⅲ部について

9 バラエティなドラマたち ――放送作家のテレビ的冒険
放送作家とドラマ脚本家/バラエティとドラマはいかにして交わるようになったか/『スチュワーデス物語』と深夜ドラマ/三木聡/福田雄一/ドラマを見ること・テレビを見ること/

10 ループする日常の快楽 ――『怪奇恋愛作戦』が具現するコメディの力
『怪奇恋愛作戦』はどこが異色だったのか/くだらなさの追求/テレビの記憶、ヒーローと恋/悲劇と喜劇のあいだで

11 一〇年目の「モテキ」 ――大根仁が深夜ドラマにもたらしたもの
深夜ドラマ時代の幕開け/ライブ方式の撮影手法/三〇分の“歌謡曲”/『湯けむりスナイパー』のこのうえない“深夜性”/『モテキ』へ

12 山田孝之容疑者(33)住所不定、多職。 ――それでもリアルを求める人
言い尽くせないもの/「人類の弱点」/「真顔」の人/現場の時代/実話の時代/「パラレルワールド」

 

Ⅳ 「卒業」と「引退」の社会学
第Ⅳ部について

13 職業になったアイドル ――テレビ、現場、そしてコミュニティ
アイドルは多職!?/テレビが生みだすアイドル/「現場」の意味/参加するファン/職業になったアイドル

14 「王道」を継承した究極の「素人」 ――SMAPがテレビに果たした役割
「プロ」か「素人」か/萩本欽一とSMAP/バラエティ進出へ/『SMAP×SMAP』が示したテレビ史的逆説/『SMAP×SMAP』のもうひとつの意味/SMAPがつないだテレビと社会/「王道」の意味を更新したSMAP

15 平成はアイドルをどう変えたのか
「アイドル冬の時代」は本当だったのか?/SMAPとドキュメンタリー性/モーニング娘。が継承したもの・革新したもの/AKB48とファンが紡ぐ物語/アイドルは人生のパートナーになった/プロデューサーの時代/バーチャルアイドルの意味/多様化するアイドル/アイドルのカジュアル化/ソロアイドルの復権?

16 そして再び、アイドルグループは「学校」になった ――引退/卒業のアイドル史
ラストソングは「蛍の光」/山口百恵、キャンディーズの「引退」の意味/分岐点としてのおニャン子クラブ/モーニング娘。における「卒業/加入システム」の確立/ジャニーズ、そして安室奈美恵が物語る平成アイドル/卒業の“その後”/再学校化するグループアイドル

終章 「ポスト平成」のテレビジョン・スタディーズへ
好きなことだけで生きられる?/タモリと平成/赤塚不二夫が示そうとしたこと/リアルとフィクションを架橋する

 

あとがき

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[著者]  太田省一(おおた・しょういち)

1960年生まれ。社会学者・文筆家。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。著書に『紅白歌合戦と日本』、『アイドル進化論』(筑摩書房)、『社会は笑う・増補版』、『中居正広という生き方』、『木村拓哉という生き方』(青弓社)、『マツコの何が“デラックス”か?』(朝日新聞出版)、『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)など。