定価1,760円(本体1,600円)
発売日2019年4月12日
ISBN978-4-7917-0365-4
橋本治の魅力に迫る、緊急追悼特集
デビュー作『桃尻娘』以降、橋本治はあまりにも数多くの著作を書きつづけた。『桃尻語訳 枕草子』から『窯変 源氏物語』、『双調 平家物語』といった古典口語訳、『ひらがな日本美術史』という日本そのもののかたちとすがたを問いなおした長大な美術史、警世的かつ時代の精神を見定めるエッセイ、もちろん晩年の『草薙の剣』に至るまで絶えず書き綴られた小説……さらにつづくかと思われたその後のさまざまな構想が、この1月に途絶えた。橋本治を悼むには書かれたように、読むしかない。追悼特集。
【目次】
■ロングインタビュー――二〇一〇年の橋本治
“小説家"という在りかた――『巡礼』『橋』『リア家の人々』をめぐって / 橋本 治(聞き手・構成=栗原裕一郎)
■橋本治と人生
橋本くん / おおくぼひさこ
橋本治という恵み / 森川那智子
マニエリスム、または「揉め事の嵐」――橋本治青空人生相談について / 高山 宏
八匹目の終わりと始まり / さやわか
■一九七九年の橋本治
電話口の橋本治――絵のなかの回想 / さべあのま 高野文子 飯田耕一郎
差しのべる手 / 飯田耕一郎
ここからすべてははじまった――橋本治の少女マンガ論 / 藤本由香里
ハッピィエンドのレシピ――橋本治のマンガ論、その場と文脈 / 宮本大人
■傾奇者・橋本治
橋本治さんと古典芸能 / 鶴澤寛也
「歌舞伎絵本シリーズ」の熱気、至福の時 / 中島かほる
前代未聞の役者絵集――『橋本治歌舞伎画文集 かぶきのようわからん』 / 須永朝彦
橋本治の好きだった歌舞伎 / 矢内賢二
「再創造」の美術史 / 橋本麻里
■橋本治という主義
慈悲の笑顔――橋本治の思い出 / 浦谷年良
作家ではなく、芸の人 / 矢内裕子
橋本治と「政治」の問題 / 宇野重規
紅蓮落日――橋本治、もしくは「社会変革の意志」 / 浅羽通明
方法的不可解、あるいは分かるために分からないでい続ける方法 / 山本貴光
■対談――二〇一〇年の対話
「リア家」の一時代 / 橋本 治 宮沢章夫
■橋本治の愛
『桃尻娘』について / 藤野千夜
ポスカだらけで追悼・橋本治 / 鈴木涼美
橋本治のナラトロジー / 川崎賢子
橋本治の描く光源氏は橋本治の説く三島由紀夫に似ている――『窯変源氏物語』を読む / 木村朗子
■橋本治の創作
橋本治の編み目 / 加藤登紀子
人間には不可解ということはない / 松家仁之
「橋本治」とはなにものだったのか / 安藤礼二
文藝雑誌にフランス革命を! / 小谷野 敦
■橋本治を読む
橋本治主要著作解題 / 編=栗原裕一郎
装丁=梅崎彩世(tento)