定価2,860円(本体2,600円)
発売日2019年1月26日
ISBN978-4-7917-7135-6
廃れたのは国か、町か、人情か
三年前、古本の山から見つけられた1冊の雑誌。それは大川周明、小泉信三、亀井勝一郎、石川達三、壺井栄、大佛次郎、斎藤茂吉など豪華執筆陣による幻の雑誌だった。その中から、歴史的・文学的に価値の高い名作を厳選。日本人の心をさぐる待望のアンソロジー。
【目次】
まえがき(石川 巧)
凡例
創刊の辞
第一部 「大東亜」の夢
大川周明 解決の唯一路
林 房雄 大東亜の文学
佐藤市郎 現代決戦の本質
小泉信三 職域に戦ふ
齋藤 瀏 必死必殺 神風特別特攻隊と日本精神
豊田三郎 東京から
大河原 元 沖縄から来る敵機を解剖す
第二部 時局への懐疑
野山草吉 時の人・宇垣一成/重光 葵/小磯国昭/谷 正之
波多野乾一 自主建国論の台頭
亀井勝一郎 最も道徳的な人間とは
長谷川如是閑 戦争と民族的道徳性
第三部 戦の日々
山口久吉 北九州空襲体験記
里村欣三 美しき戦死(*遺作)
尾崎士郎 バタアン残月
石川達三 沈黙の島(*)
高松棟一郎 ルソン最後の特攻隊
尾崎一雄 我が疎開記
大下宇陀兒 わが残留記
第四部 銃後の暮らし
堤 千代 女郎花
壺井 栄 村の運動会(*)
大佛次郎 遅桜
窪川(佐多)稲子 たゝずまひ
伊藤永之介 日本の水
丹羽文雄 青春の別れ
武田麟太郎 嫌はれもの(*)
室生犀星 片信
榊山 潤 山村
第五部 異郷を想う
周 作人 雨の感想
梅 娘 私の随想と日本
栗原 信 湖南ところどころ
錢 稻孫 近譚一二
簫 艽 友を懐ふ
小杉放庵 よき中国人
吉川幸次郎 支那と世界と日本
奥野信太郎 中国の大学生
武者小路実篤 筆と墨
第六部 日常を詠む
大木惇夫 うなばら洲
山口誓子 月明
水原秋櫻子 初秋
前田普羅 静かなる日本
長谷川素逝 大陸吟詠抄
岡 麓 決戦近しといふ
佐藤春夫 異郷の新春(*)
山口青邨 御代の春
斎藤茂吉 新年述志
河井酔茗 吾家の待避壕
齋藤 史 日常
会津八一 火鉢
生方たつゑ 徹るみち
中村草田男 末弟征く
土屋文明 北京雑詠
飯田蛇笏 皇土還春
吉野秀雄 富士
前田夕暮 暁の空
小杉放庵 北京五首
原作者プロフィール
《付録》第二巻第六号目次
補論・あとがき(石川 巧)
[編著者] 石川巧(いしかわ・たくみ)
1963年、秋田県生まれ。山口大学専任講師、九州大学大学院助教授を経て、現在、立教大学教授。専攻は日本近代文学・文化。著書に『幻の雑誌が語る戦争--『月刊毎日』『国際女性』『新生活』『想苑』』(青土社、2018)、『『月刊読売』解題・詳細総目次・執筆者索引』(三人社、2014)、『高度経済成長期の文学』(ひつじ書房、2012)、『「いい文章」ってなんだ--入試作文・小論文の歴史』(ちくま新書、2010)、『「国語」入試の近現代史』(講談社メチエ、2008)、共編著に『〈ヤミ市〉文化論』(ひつじ書房、2017)、編著に『くろがね』復刻版(金沢文圃閣、2018)など。