定価3,300円(本体3,000円)
発売日2018年12月13日
ISBN978-4-7917-7120-2
国立療養所――その〈生政治〉の歴史
治療を望む人々、拒む人々、医師や施設への要求、抵抗、そして運動……病にはつねに複数の思いが交錯する。国立療養所という、この国最大の病・障害の現場にまつわる膨大な言説を収集し、筋ジストロフィー症や重症心身障害、サリドマイド禍、スモン病など、政策の課題ともされてきた病・障害の現代史を、真っ向から、つぶさに描きあげてゆく。唯一無二の医療史。
【目次】
序
Ⅰ
第1章 生の現代のために
1 失せていく、これから
2 規範論のためにも
3 適度な距離にある無知
4 「研究」できてしまう
5 難しさ
註
第2章 一つの構図
1 何を述べるか(予告)
2 (1) 自らを護る運動:結核/ハンセン病療養者
3 (2) 親の運動:筋ジストロフィー/重症身心障害児
4 (3) 被害者たちの運動:サリドマイド/スモン
5 医療
6 (4) 別の動き
註
Ⅱ
第3章 国立療養所で
1 開始の前に
2 誕生とすぐに起こる変化
3 変化への抵抗、転換の受容
4 諸力が合わさる
註
第4章 七〇年体制へ・予描1
1 短絡しないために
2 医(学)者たち
3 短絡しないために・2
註
第5章 一九八一・八二年・二〇一七年
1 高野岳志
2 福嶋あき江
3 八〇年代
4 三十年後
註
第6章 その傍にあったこと・予描2
1 六三年・花田春兆の不満
2 横田弘の批判
3 七〇年からの府中・八二年からの島田
4 復唱+
Ⅲ
アーカイヴィング
筋ジストロフィー関連/ありのまま舎関連
難病本/ALS本
文献表
[著者] 立岩真也(たていわ・しんや)
1960年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。社会学専攻。単著に『弱くある自由へ 自己決定・介護・生死の技術』、『造反有理――精神医療現代史へ』、『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』(以上、青土社)、『良い死』『唯の生』(以上、筑摩書房)、『自由の平等』(岩波書店)、『自閉症連続体の時代』(みすず書房)、『人間の条件――そんなものない』(理論社:増補新版、新曜社)など。共著に『ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性』、『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(以上、青土社)、『生の技法 家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)他多数。