定価3,080円(本体2,800円)
発売日2018年11月17日
ISBN978-4-7917-7119-6
異なる人たちの、〈公平〉な社会にむけて
動けない「足」が障害なのか、車いすで移動するのに適さない「社会」が障害なのか。支援するためには病や障害の原因を「同定」することが必須なのか。公平な社会のあり方を考えてきた政治哲学が、障害を取りこぼしてしまってきたのはなぜなのか。誰もが不利益を不当に被ってしまわない社会――政治、経済を見失わず、確固たる思想的基盤をひとつひとつ作り上げていく、明日の社会のための強靭な思想。
【目次】
序
Ⅰ
第1章 五つある
1 不如意な身体に五つある
2 五つについての必然的でない事情、関係・併存
3 各々について、誰にとっての正負
・・・
第2章 社会モデル
1 短く言ってみようとする
2 インペアメントを言う人には苦痛と死を言っている人がいる
3 インペアメントがある、と言う必要はない
・・・
第3章 なおすこと/できないことの位置
1 なおすことについて
2 できないことの位置
第4章 障害(学)は近代を保つ部品である、しかし
1 近代、とその次?
2 障害とは何か、とは問わない
3 非‐能力/障害
・・・
第5章 三つについて・ほんの幾つか
1 異なることについて
2 苦と死
3 表わすこと
・・・
第6章 加害のこと少し
1 厄介であること
2 社会防衛が護るもの
3 やがて社会防衛が一部で否定される
・・・
Ⅱ
第7章 非能力の取り扱い――政治哲学者たち
1 政治哲学者たち
2 代わりに
第8章 とは何か?と問うを問う
1 星加良司『障害とは何か――ディスアビリティの社会理論に向けて』
2 榊原賢二郎『社会的包摂と身体』
第9章 普通に社会科学をする
1 どこを出発点におくか
2 大きな話は終わっていない
Ⅲ
第10章 ないにこしたことはない、か・1
1 どんな主題なのか
2 死なず痛くなければよい、とはいえ、できるにこしたことはない、か?
3 できることは必要だが、私が、である必要はない
・・・
第11章 なおすことについて
1 はじめに
2 調べてみたらよいと思う
3 場にあるもの/ないもの
第12章 存在の肯定、の手前で
1 存在を肯定する作業療法はあるか?
2 痛みと死をもたらす病に
3 障害の諸相、のうちの異なり
・・・
第13章 障碍者支援・指導・教育の倫理
1 現況とそこで倫理を問うことについて
2 病・障害にある成分
3 自閉圏はどう捉えられるか
・・・
第14章 リハビリテーション専門家批判を継ぐ
1 批判の相手はかつて褒め讃えた人であったこと
2 相手はどんなところにいる人たちなのか
3 すくなくとも私が教わること
註
Ⅳ
障害学?の本・1(医療と社会ブックガイド・24)
障害学?の本・2(医療と社会ブックガイド・25)
障害学の本・再度(医療と社会ブックガイド・38)
『障害の政治』(医療と社会ブックガイド・66)
あとがき
文献表
[著者] 立岩真也(たていわ・しんや)
1960年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。社会学専攻。単著に『弱くある自由へ 自己決定・介護・生死の技術』、『造反有理――精神医療現代史へ』、『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』(以上、青土社)、『良い死』『唯の生』(以上、筑摩書房)、『自由の平等』(岩波書店)、『自閉症連続体の時代』(みすず書房)、『人間の条件――そんなものない』(理論社:増補新版、新曜社)など。共著に『ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性』、『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(以上、青土社)、『生の技法 家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)他多数。