定価2,200円(本体2,000円)
発売日2018年11月10日
ISBN978-4-7917-7110-3
存在論と認識論をまたぐ量子力学の展開と、超情報化社会のテクノロジーが出会う、驚異の交差点!
量子コンピュータや量子暗号の技術的イノベーション、そしてそれらのアイディアを生み出し、また、そのようなアイディアに触発されて進展しつつある量子力学の新しい姿とは?
【目次】
第1章 量子情報技術と科学基礎論
1 はじめに
2 存在論的量子力学から認識論的量子力学へ
3 電波から光へ
4 通信の量子限界
5 量子情報と古典情報
6 フォン・ノイマンの測定理論
7 認識の限界と測定理論
8 公開鍵暗号と量子計算
9 量子暗号
10 量子と実在
第2章 量子力学の転換点――量子測定・不確定性原理・重力波検出
1 はじめに
2 ハイゼンベルクの不確定性原理
3 反復可能性仮説
4 重力波検出プロジェクト
5 ユエンとケーブスの論争
6 量子インストルメント
7 標準量子限界
8 論争の決着
9 普遍的不確定性関係
10 LIGOプロジェクト
第3章 フォン・ノイマンと量子力学の数学的基礎
1 はじめに
2 量子力学の発見
3 非有界作用素のスペクトル理論
4 隠れた変数の非存在証明
5 ベルの反論
6 熱力学的考察
7 同時測定可能性
8 不確定性関係
9 量子測定理論
第4章 情報技術と社会の変化
1 はじめに
2 ビットコインとブロックチェーン
3 量子情報技術とコンピュータ
4 社会は変化を続ける
補 章 科学の示す実在像について――ボーア=アインシュタイン論争研究の最前線
1 はじめに
2 不確定性原理
3 EPRのパラドックス
4 ボーアの反論
5 隠れた変数
6 様相解釈
7 ハルヴォーソン=クリフトンによるボーア解釈とその一般化
8 むすび──相補性の観点から
あとがき
[著者] 小澤正直(おざわ・まさなお)
1950年東京都生まれ。数学者。東京工業大学理学部卒業。同大学院理工学研究科博士課程修了。専門は量子基礎論、量子情報科学。名古屋大学名誉教授。ハイゼンベルクの不確定性原理を表す不等式の破れを正した「小澤の不等式」で世界的に知られている。2013年に中日文化賞、2015年に紫綬褒章を受章。