定価1,980円(本体1,800円)
発売日2018年10月27日
ISBN978-4-7917-7112-7
最後に昆虫に触れたのは何時ですか?
虫好きへの世間の無理解・家での肩身の狭さを吹き飛ばす、チョウや昆虫たちの究極の美と刮目の行動――。小さな生命との決定的な出会いを求め、網を片手に本日も草原へ。微細ながらも深遠なワンダーランドの魅力を縦横に語り尽くす。
【目次】
第1部
古今東西・昆虫文学大放談! × アーサー・ビナード
人は虫食いの猿だった 人間社会で働く昆虫たち ファーブルと翻訳をめぐって
イソップと生物の寿命 昆虫と文学 原爆とクマゼミの記憶 詩人は虫である
僕らはみんな虫なんだ × ビートたけし
何十年目の真実 虫は癒し げにすさまじきは昆虫のメス
ムシにもおかまがいる? 不思議な進化 こんな虫を採りたい
トンボ採りのノウハウを今のガキに伝えたい × 阿川佐和子
フランス人もイギリス人もセミを知らない
3トントラック2台が3往復してもまだ運びきれない標本が
バッタ追いし、かの広っぱ × 田辺聖子
訳には和風な味つけを 虫たちの声に耳を澄ませる 百歳までの人生設計
失われた絶対生物感覚を求めて × 長谷川眞理子
本と虫とは家の邪魔 人間が生き物だと理解できない虫嫌い女性の意味深い戦略
昆虫少年、昆虫少女 生き物好きは「南」南のイメージはアフリカか南米か
博物というものに対する考え方 理解されない日本のコレクター
風土と虫と文明 日本の半分は南だ アイボは増えない
休憩
連載閑談 × 阿川弘之 × 北 杜夫
実録と空想 読者の叱言 橋本学の建学 ユーモアについて 博物文学
文字と文体 親父と息子
第2部
フランスかぶれ今昔 × 鹿島 茂
語学頭脳は一定容量 パリの日本人 中国で受けるバルザック
フランス文学を禁止せよ リカちゃんは 1.5倍 世界に冠たる微視的ポルノ
故郷のなまりなつかしモンパルナス 新書220冊九千円
コレクションの女神に後ろ髪はない
風土から見る、食卓、恋愛、美意識 × 内田洋子
甘え上手なイタリア男性 臨戦態勢のフランス女性
おいしさを感じるのは土壌と、気候、空気の乾燥具合
それぞれの国で好まれる色や形は昆虫のデザインとも関係する !?
ゴリラと虫から世界を見る × 山極寿一
フィールドが見せる共鳴の不思議 フィールドの贈り物 つかのまの眼福
みんな〝昆虫少年〟をカムアウトしていた
動物に憑依したり小さくなって異界に遊べる日本人
植物とチョウが共振化できる自然界の謎
家族型=ゴリラ、共同体型=サル、全方位外交型=ヒト
独学のススメ × 茂木健一郎
標本にもお国柄 幻だった「チョウの楽園」 接写レンズと広角レンズ
〝感覚でとらえる〟ことの大切さ × 養老孟司
日本人はファーブルがお好き なぜ虫を採ってはいけないのか 次の時代を占う『昆虫記』
あとがき
[著者] 奥本大三郎(おくもと・だいさぶろう)
一九四四年、大阪生まれ。東京大学文学部仏文科卒、同大学院修了。専攻は、ボードレール、ランボーなど。フランス文学者、作家、NPO日本アンリ・ファーブル会を設立。東京・千駄木にファーブル昆虫館を開館。主な著書に『虫の宇宙誌』(読売文学賞)、『楽しき熱帯』(サントリー学芸賞)『斑猫の宿』(JTB旅文学大賞)など。個人完訳『完訳ファーブル昆虫記』全10巻(菊池寛賞)。