象徴天皇を哲学する

田中久文 著

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象徴天皇を哲学する

定価本体2000円+税

発売日2018年8月9日

ISBN978-4-7917-7090-8

思想史としての天皇論を「民主主義」のために
平成二十八年八月八日の午後、天皇の「おことば」による生前退位の意思表明は、象徴天皇制を根源的に見直す発端をつくった。しかし戦後民主主義下において、これまで天皇について十分に議論が尽くされたと果たして言えるのか。かつて、天皇は近代日本思想の中心的命題であった。吉田松陰、福沢諭吉、伊藤博文、穂積八束、西田幾多郎、美濃部達吉、津田左右吉、北一輝、田辺元、和辻哲郎、南原繁、尾高朝雄、丸山眞男、三島由紀夫たちは、天皇をどのように考えていたのか。思想史を熟議することで見えてくるのは、グローバリゼーションと市場原理主義の時代に、日本の民主主義を推し進める天皇制を創造する道筋である。

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【目次】

はじめに
一 民主主義と象徴天皇制
二 リベラリズムとナショナリズム
三 福沢諭吉の皇室論
四 主体的な民主主義を求めて
五 天皇制と普遍性

第 一 章  国 体
一 「国体」の創始者 会沢正志斎
二 明治の「国体」を設計した吉田松陰
三 正統的「国体論」の集大成『国体の本義』

第 二 章  統 治
一 伊藤博文のみた明治憲法の本意
二 美濃部達吉の「天皇機関説」の意味
三 穂積八束の君権絶対主義の逆説
四 北一輝の「維新革命」論

第 三 章  象 徴
一 「象徴天皇」論の先駆者 福沢諭吉
二 和辻哲郎の「全体性の表現者」論
三 津田左右吉の皇室擁護論
四 西田幾多郎の「無」としての皇室論

第 四 章  論 争
一 美濃部達吉と南原繁の新憲法批判
二 佐々木惣一・和辻哲郎論争
三 宮沢俊義・尾高朝雄論争

第 五 章  合 議
一 石井良助の天皇「不親政」論
二 和辻哲郎の合議としての天皇制
三 丸山眞男の天皇制と民主主義

第 六 章  責 任
一 丸山眞男の「無責任の体系」論
二 田辺元の「無所有」としての天皇論
三 南原繁の天皇「退位」論
四 和辻哲郎の象徴天皇の責任論

第 七 章  聖 徳
一 ヘーゲルの「血統」論
二 「血」か「徳」かのジレンマ
三 和辻哲郎の普遍的「聖徳」論

第 八 章  変 革
一 丸山眞男の「古層」論
二 「国学」的ファナティズム
三 三島由紀夫の「永久革命」としての天皇論
四 「太古の祖型」と天皇
五 権藤成卿の「社稷」論

第 九 章  宗 教
一 天皇は何を祀るのか
二 「超国家主義」と仏教
三 南原繁の普遍宗教と天皇制

 


あとがき
人名索引

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[著者] 田中久文(たなか・きゅうぶん)

1952(昭和27)年埼玉県生まれ。哲学者。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、日本女子大学教授。専門は日本思想史。京都学派を中心に、近代日本で花開いた哲学思想をたどり直し、現代にも共通する「本質」を掘り起こしている。主な著書に『九鬼周造』(ぺりかん社、第一回中村元賞受賞)、『丸山眞男を読みなおす』(講談社選書メチエ)、『日本美を哲学する』(青土社)、『日本の「哲学」をよむ』(ちくま学芸文庫)などがある。