定価4,180円(本体3,800円)
発売日2019年10月25日
ISBN978-4-7917-7079-3
もうひとつの可能性をさぐる
ユダヤ人であることと、シオニズムを批判することは両立しえないのか。ユダヤ性とは何かを徹底的に主題化しつつ、パレスチナ・イスラエル問題の核心にせまる。レヴィナス、ベンヤミン、アーレント、サイードの思想を読みとき、現代を代表する思想家が、いま私たちがとるべき道を模索する。
[目次]
はじめに――自己からの離脱、エグザイル、そしてシオニズム批判
諸原則の導出
倫理、政治、そして翻訳の使命
二国民主義の悲惨な形態を超えて
第1章 不可能で必要な責務――サイード、レヴィナス、そして倫理的要請
ブーバーからアーレントへ――混淆した遺産
レヴィナス
誰が顔をもつか?
ネイションズ
第2章 殺すことができない――レヴィナス対レヴィナス
顔は何を命ずるのか?
顔はどこに見出すべきか?
第3章 ヴァルター・ベンヤミンと暴力批判
異なるユダヤ教
暴力、運命、そして法
生ける者の名において
嵐
第4章 閃いているもの――ベンヤミンのメシア的政治
第5章 ユダヤ教はシオニズム――あるいはアーレントと国民国家批判
ハンナ・アーレントと国民国家の終焉?
第6章 複数的なるものの苦境――アーレントにおける共生と主権
アイヒマンに抗して――アーレントの声、そして複数性の挑戦
複数的な「私たち」
複数的な共生
第7章 現在のためのプリーモ・レーヴィ
第8章 「エグザイルなくして、私たちはどうしたらよいだろう」――サイードとダルウィーシュが未来に語りかける
原注
略号一覧
謝辞
訳者解説(岸まどか)
訳者あとがき(大橋洋一)
索引
[著者] ジュディス・バトラー(Judith Butler)
1956年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校教授。主な著書に『ジェンダー・トラブル――フェミニズムとアイデンティティの攪乱』、『アンティゴネーの主張――問い直される親族関係』(以上、竹村和子訳、青土社)、『権力の心的な生――主体化=服従化に関する諸理論』、『自分自身を説明すること――倫理的暴力の批判』(以上、佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社)、『生のあやうさ――哀悼と暴力の政治学』(本橋哲也訳、以文社)、『戦争の枠組――生はいつ嘆きうるものであるのか』(清水晶子訳、筑摩書房)、『触発する言葉――言語・権力・行為体』(竹村和子訳、岩波書店)、『偶発性・ヘゲモニー・普遍性――新しい対抗政治への対話』(エルネスト・ラクラウ、スラヴォイ・ジジェクとの共著、竹村和子・村山敏勝訳、青土社)、『国家を歌うのは誰か?――グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』(ガヤトリ・スピヴァクとの共著、竹村和子訳、岩波書店)。